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2011-09-01 00:00
(連載)野田新総理は、米知日派の期待を裏切るな (1)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
民主党政権の外交上の最大の失策、というよりも大罪は、日米関係を著しく悪化させたことである。そして、それにより、中国の冒険主義を増長させる結果となった。これは、我が国はもちろんのこと、アジア太平洋諸国の安全保障にとって大きなマイナス要因となった。
鳩山由紀夫氏は、東アジア共同体構想や普天間の県外移設を打ち出して、日米関係を極度に混乱させた。後任の菅直人氏は、これらを撤回したが、かといって、積極的に日米関係の修復に役立つことをしたわけでもない。米国が期待するTPPへの参加を突如打ち上げたかと思ったら、震災を理由に棚上げしてしまった。このような対応は、当然、日米関係にとってマイナスである。彼らの後任として選出された野田新総理に対しては、米国の知日派・日米関係重視派の間では、一定程度、期待する雰囲気が醸成されているようである。
例えば、マイケル・グリーン元NSC上級部長(現・戦略国際問題研究所上級顧問・日本部長)は、米国を代表する知日派の一人であるが、彼が8月29日付で米国の外交専門誌『フォーリン・ポリシー』のウェブサイトに掲載した小論は、印象深い。
グリーン氏は「野田氏は巨大なハードルに直面している。すなわち、日本経済は20年にもわたって苦境に陥っており、民主党は政権獲得から2年を経過してなお、政策遂行能力を示すことができず、国会は衆参でねじれて、手詰まりである。そして、日本の有権者は支配層に対して極めて冷笑的で、否定的となっており、政治アナリストのほとんどは、次の総選挙まではこのような状況が続くだろうと分析している」としつつ、「野田氏が選出されたことには期待感を持っている。一つには、彼が安倍元総理や前原氏の系譜に連なる、安全保障に関する純然たる保守主義者だからである」と言っている。さらに、「野田氏の父は陸上自衛官であり、そのこともあって、野田氏は、日米同盟や安全保障問題に関して、類まれな理解を持っている」として、日米関係の改善に強い期待を示している。(つづく)
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