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2008-05-10 00:00
(連載)北朝鮮への人道支援には条件をつけるべきだ(1)
李相哲
大学教授
最近の北朝鮮に関する情報を総合すると、北朝鮮の食糧難は深刻な水準に達しているようだ。すでに餓死者が続出している、という報道もある。北朝鮮を脱出した人々の証言である。北朝鮮は、中国に15万トンの緊急食糧支援を要請し、すでに5万トンは確保済みというが、5万トンでは焼け石に水だろう。国連食糧農業機関(FAO)も、幾度となく北朝鮮の食糧危機の到来を予告し、支援の必要性を訴えてきたが、必要量を確保するまでには程遠いようだ。
ところが、北朝鮮の態度はますます強硬そのものである。食糧難を解決するためには、韓国と日本に支援を要請するしかないが、逆に非難の度合いを高めている。いまのところ、「北から支援要請があるとは思えない」というのが国際社会の共通の認識のようである。では、北朝鮮は本当に困ってないのだろうか。困っていない。正確に言えば、支配層や金正日は困っていない。彼らにとっては、これこそ望んでいる局面であろう。人民を人質にとって、国際社会、特に韓国を脅迫できるからだ。北朝鮮政府が人質でとっている人民の一部は、韓国人の兄弟であり、親戚であるから、韓国はいやでも脅迫に屈するだろうと読んでいる。餓死者が多く出れば出るほど、金正日の立場は強くなる。
韓国では、政府に対する批判が強くなるだろうし、支援者が実際行動に出る事も予想される。韓国政府も、人道的な見地から支援を「申し出」なければならない。つまり、金正日に支援の「許可」を仰ぐことになる。もしも、そうしなかったら、アメリカに遅れて、慌てて支援に回り、殆ど効果のない支援をすることになる。アメリカが無条件で人道支援に踏み切れば、韓国政府としては、政治的にも、外交的にも、実質においても、何の利益にならないことをしなければならない。
もしも食糧が人民の口に運ばれるなら、それはそれでもよかろう。このようなシナリオについては、金正日だけが知っているわけではないが、韓国はそうせざるを得なくなるかも知れない。アメリカは、核問題解決の進展如何によっては、50万トンの食糧支援もありうるような素振りを見せている。それに北朝鮮がおおきな期待を寄せているのは間違いない。金正日にとって、それは食糧危機を解決する以上の政治的な意味をもつ。アメリカが金将軍の戦略に屈して、食糧を「献納」することになった、という風に宣伝できる。いや、宣伝ではなく、事実上構図はそうなっている。北朝鮮の人たちも、そう理解するだろう。だから、北朝鮮は韓国に対しては一層強い態度で臨んでいる。(つづく)
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