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2025-04-06 22:03
関税措置で米国は豊かになるのか:映画「アメリカン・ビューティー」の今日的視座
北田 徹矢
公務員
2000年に上映された『アメリカン・ビューティー※』をご存知であろうか。しばしばアメリカ人が求めていることとして、①父親が会社で居場所があること、②母親が勤め先で不倫する必要がないこと、③子どもに就活先があること、④病気になったとき休んで治療を受けられること、の4点が挙げられる。
しかし、この映画ではこれら4点がすべて否定される内容でストーリーが進んでいく。著者がこの映画を初めて見たとき、アメリカの社会は長く持たないだろうと見ていた。言い換えるとアメリカ人が一般意思として求めているのは、生きていく上での本質的なことであり、安い輸入品ではない。
また、これらしっかりした会社基盤、社会倫理、学校と社会のつながり、労働慣行と医療サービスのつながり、といったことは海外の貿易国が提供できるものではない。すべてアメリカ国内の解決問題であって、よそからとやかく言えるものではないからだ。アメリカがいわゆる余力を失っている現状で、貿易国が関税についてとやかく言ってももはや相手にされなくなっているのではないか。アメリカ人が求めているものに応えるのを最優先するトランプ氏が昨年秋に再び大統領に返り咲いた。
関税率の高さについて交渉しても、貿易によって国内基盤が脆弱になったと考えている以上、その交渉自体、徒労に終わるのではないか。これから日本が貿易相手国アメリカに対してできることは、余暇の観光サービスを提供することにかぎられていくのではないか。
最後に、本稿は役所の意見ではなく、あくまで個人の考えであることお断りしておきたい。
※作品データ
原題:『American Beauty』(1999年製作のアメリカ映画。サム・メンデス監督作品)
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