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2009-02-06 00:00
(連載)クリントン米国務長官の来日を控えて(2)
角田 勝彦
団体役員・元大使
要するに、目下第一の課題は、経済危機を中心に混乱する世界秩序の再構築に日本が果たし得る役割を明確に提示するとともに、その実行力を示すことであろう。国際金融危機などについては、1月31日ダボス会議において、麻生総理が「私の処方箋:世界経済復活に向けて」と題する特別講演で、援助関係を含め多くの具体的な方策を説明した。主導権争いのためのリップサービスの疑いが強い他国の諸提案の影に隠れたが、今年を「世界経済復活の年」(麻生総理)にするための積極的具体的貢献として、評価されるべきものが多い。
なお、2月1日閉幕したダボス会議は、危機発生の構造要因を巡る責任の押しつけ合いもあり、金融危機からの脱出に向けた協調姿勢を確認しつつも、その協調体制の構築を4月の金融・世界経済に関する20カ国・地域(G20)首脳会合(第2回金融サミット)に先送りした。G20自体、BRICsなど新興国の権限拡大など国際金融機関の改革を求める声のみ強く、実務的に金融危機に対処できるか疑問である。さて、クリントン国務長官は、日米同盟の重要性を再確認するほか、北東アジア情勢、国際金融危機、アフガニスタン支援などについて、問題提起を行うと見られる。
日米安保については、中曽根外相の外交演説における「抑止力の維持と沖縄など地元の負担軽減を図るべく、在日米軍再編を着実に実施し、日米安保体制を堅持していく」との意志表明に拘わらず、2月1日中曽根外相と仲井真沖縄県知事の会談難航に見られたように、デッドロックに乗り上げている、という問題がある。しかし北朝鮮の核・ミサイル開発への対策は、テポドン改良型発射準備中との情報もあり、焦眉の急になりつつある。米軍再編とも絡めた真剣な協議が必要であろう。
国際金融・経済危機については、協調のための新しい体制・組織作りの問題がまず世の関心を集め、G14案(ゼーリック世界銀行総裁提言)やG16案(米MGI《マネージング・グローバル・インセキュリティー》提言)、ダボス会議での国連「経済理事会」案(独首相提案)なども出されている。 しかし、組織よりも実行、とくに保護主義の回避が重要である。WTO調査によれば、08年秋以降16カ国・地域が「保護貿易」措置を導入した。米下院が可決した景気対策法案にも、米国製鉄鋼の使用を義務づける「バイ・アメリカン」条項が入った。上院では拡大も目論まれている。米国への苦言も必要であろう。
麻生演説で表明されたような諸施策は、実現されれば、国際社会の責任ある大国としての我が国の地位を確保するのに役立とう。これら我が国の外交方針を、とくにクリントン来日を好機として、オバマ新政権向けに、力強く発信することが必要である。なお、筆者は本政策掲示板2008年7月1日付けに掲載された投稿で「G8首脳はテレビ閉鎖回路でサミットの議論をフォローせよ」と提案したが、日米の緊密な関係を印象づけるために、ホワイトハウスと首相官邸間の閉鎖テレビ会談システムの設置を提案してはどうだろうか。(おわり)
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