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2009-02-10 00:00
(連載)中国の海洋戦略は政治的思惑先行?(1)
山田 禎介
ジャーナリスト
オバマ政権のヒラリー・クリントン新国務長官がアジア歴訪の最初の訪問国として16日に来日することが注目されている。だが重要なことは、新国務長官のこの歴訪最後の訪問国が中国だという事実だ。アメリカのアジア政策、とりわけアメリカ民主党政権のアジア政策は、伝統的に対中関係を重視してきた。一方で、中国の軍事力の拡大に懸念を抱くのもアメリカで、アジア太平洋地域に不安要因を与えているとみている。またアメリカがその中国の意図を不明とし、それ以上を語らないのは、国際戦略の常道だが、この「意図不明の状態」に乗ることこそが、中国の本当の狙いではあるまいか。さらに中国の軍事力拡大に対するアメリカの懸念は、1980年代のソ連海軍脅威論と酷似しているのも気になる。
かつてのソ連も結局は海軍力展開に失敗したが、中国もまた海軍の海洋展開を準備しているのだろうか。香港情報などで中国が空母建造中との報道が続き、中国もそれを否定しない。日本では空母建造情報はとかくセンセーショナルに伝えられる。だがアメリカが中国に抱く軍事的懸念とは、この空母という水上・航空展開戦力よりは、中国が太平洋に展開しようとする原潜などの潜水艦群に主眼を置いたものではないだろうか。中国の空母建造のお手本は、旧ソ連の小型空母などのスクラップ構造物とされる。それは現役時代でもアメリカ正規空母の水準にははるかに及ばないものだった。空母の建造と海上での展開運用は、国の総合技術・経済力に比例する。本格空母を自国で建造し、海洋での大規模展開に成功してきた国は、これまで英米仏と、皮肉なことにかつての日本ぐらい。その空母先進国の英国でも、現在は軽空母程度の保有に甘んじ、友邦アメリカに頼る。また現状の各種空母保有国にしても、譲渡されたものと、技術指導を受けての二次的な改造・建造物にとどまる。
第2次大戦では、ナチス・ドイツもこの面では日本の技術支援を受け、本格空母建造を目指したが、未完成のまま敗戦。ソ連も当時、空母を持つことはなかった。第一次大戦のドイツ帝国と第二次大戦のナチスのように水上艦で劣勢の国は、大規模な潜水艦群の建造と展開を目指す。旧ソ連も、戦利・捕獲したナチスの潜水艦を改良・国産化し、潜水艦を大量に保有する国となった。さらに本格空母の建造・運用を目指したが挫折している。地政学的にドイツ、ソ連(現ロシア)ともに、外洋艦隊を運用・展開するには不利な国で、歴史的にも潜水艦戦力に頼ってきた。中国の潜水艦群もまたソ連から譲渡されたものを基礎に発足している。海岸線も、外洋艦隊基地としては行動を探知されやすい中国。中国にはミャンマーのベンガル湾沿いに海軍基地構築の戦略もある。(つづく)
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