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2009-02-12 00:00
早期の景気回復が最大の国際貢献
塚崎 公義
久留米大学准教授
米国発の金融危機により、世界的な景気の急激な悪化が進んでいる。世界的に金融の機能が大きく低下しているため、先進国では企業などの資金調達が困難になり、途上国では外資が逃げ出して外貨準備が不足するなど、各方面で資金繰りに問題を生じている。日本は、諸外国の需要の落込みと円高というダブルパンチに見舞われ、かつてないスピードで輸出が落ち込んでおり、世界的な危機の渦に巻き込まれた形となっている。こうした状況下、日本として考え得る国際貢献の一つは、途上国に資金の支援を行なうことである。しかし、それ以上に重要なことは、日本経済自身の景気回復を図ることである。
世界第二の経済大国である日本の経済が世界に先駆けて回復の途につくことが出来るならば、世界経済を覆っている悲観的なムードが後退し、世界経済が回復に向かう契機となるかもしれない。「景気は気から」と言われるように、今回世界的に景気が悪化している一因は、先行きが読めないことによる不安感から消費や投資が手控えられていることである。金融危機という「見慣れない敵」に襲撃され、世界恐慌の可能性が噂される中では、人々が恐怖心から通常の不況期以上に慎重化しているはずである。そうした時に日本が回復に向かえば、世界恐慌に対する人々の恐怖心は大いに和らぐであろう。
「中国が先に回復し、日本が中国向けに輸出を増やして景気を回復させた場合」に比べ、「日本が世界に先駆けて回復した場合」には、アジアおよび世界における将来の日本のプレゼンスは格段の差が生じるであろう。加えて、日本人が日本経済に対して自信を取り戻す契機ともなるであろう。現在は100年に一度の危機であると言われるが、危機であると同時に大きなチャンスでもあるのである。そうとなれば、出来る事は何でも直ちにやるべきであろう。定額給付金をやるかやらないか、といった議論をしている時間的な余裕は無いのであって、少しでも効果があるかもしれない事は総て試してみる、といった思い切りが必要なのである。
では、仮に日本が思い切った景気対策を行なえば、世界に先駆けて回復することは可能なのであろうか。難しいという人が多いが、そうとは限らない。「米国と欧州は住宅バブルの後遺症に悩んでいるが、日本はそうではない」こと、「原油や穀物などの価格が暴落したことの恩恵を最も受けるのは日本である」こと、などを考えれば、日本経済の相対的な回復力は決して低くないと言えるだろう。現在は、米国などが在庫調整のために対日輸入を絞り込んでいるが、各国の在庫調整が一巡すれば、こうした状況が緩んでくると見込まれ、これも明るい材料の一つと言えよう。おそらく日本人は欧米人よりも悲観的に考える傾向が強く、それが景気にマイナスに働いている部分も大きいと思われる。そうであれば、政府が国民を元気付け、恐怖心を払拭することが、最初の景気対策として求められる所である。
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