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2009-02-17 00:00
(連載)オバマとジェファソン(2)
角田 勝彦
団体役員・元大使
外交面では、バイデン副大統領が、ミュンヘン安保会議で、2月7日、国際協調重視の外交・安保政策への転換を表明したことに、ロシアを含む多くの国から歓迎の意が表明された。対話を呼びかけられたイラン(3日国産衛星打ち上げ)のアフマディネジャド大統領は、10日、初めて米国との対話の意思を明確に示した。1月26日、衛星テレビ局アルアラビアのインタビューで「米国はあなた方の敵ではない」とイスラム世界に呼び掛けたオバマ政権への期待は、中東で高い。包括的解決を求める特使に任命された中東和平担当のミッチェル元上院議員、アフガニスタン・パキスタン担当のホルブルック元国連大使の努力が期待されている。
ガザの停戦は続いており、1月末に大きな混乱なく実施されたイラク地方選で、マリキ首相率いる穏健派は地滑り的勝利を収めた。アジアについては、クリントン国務長官は、アジア4か国歴訪直前の2月13日の演説で、安全保障から経済危機まで幅広い懸案について、アジアとの「パートナー関係」を深める姿勢を打ち出し、実利や国益を重視した「脱イデオロギー外交」で臨む方針も示した。中国とは27日から米中国防対話を再開し、対テロなど軍事協力の拡大も検討すると伝えられる。
ただし、テポドン3号発射準備中とも伝えられる北朝鮮に対しては、「完全かつ検証可能な形で核計画を放棄するならば、2国間関係を正常化し、朝鮮半島の休戦協定を恒久的な平和条約に切り替える用意がある」と従来方針を確認した。「拉致を忘れない」とも言明している。北朝鮮は、様子見のようである。アメリカ国内ではもちろん、1月のダボス会議でも、オバマ政権に対しては、景気対策や国際協調に関する多くの注文が寄せられた。このことが示すように、地球温暖化対策を含め、オバマ政権に対する期待は大きい。諸経済対策発表後の株価の下落が示すように、魔術を待つような性急に過ぎる期待もある。楽観的すぎる安心感もある。
オバマがその就任演説で、合衆国憲法に象徴される「法の支配」や「人権」といった建国の理想への回帰と、苦難の下での「責任」や「義務」を強く訴え、国際協調のみならず、名指しこそ避けたがアルカイダなどイスラム過激派を「負かす」と宣言したのは、岐路にある米国と世界にとり、正しい進路を示すものである。オバマが歴史に名を残す大統領になることを期待したい。(おわり)
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