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2009-02-18 00:00
オバマ政権に持ち越された北朝鮮問題
鍋嶋 敬三
評論家
クリントン米国務長官が初の外遊先として日韓中などアジア訪問を選んだのは、オバマ政権のアジア太平洋重視の表れとして歓迎できる。同長官は「米国の将来がアジア太平洋との関係にかかっているからだ」と歴訪直前の講演で述べた。最大の課題は北朝鮮の核問題である。歴訪は6カ国協議へのコミットメント再確認と日韓中との協力強化を示す旅であり、2月17日の中曽根弘文外相との会談で日米の一層の連携を確認した。6カ国協議は昨年末、核の検証方法の文書化に合意できず、オバマ政権に持ち越された。クリントン氏は核兵器計画の完全で検証可能な廃棄と引き換えに、米朝関係の正常化(休戦協定に代わる平和条約締結)というオバマ政権の意思を明確にした。最近の北朝鮮による挑発的言動に警告を発し、「ボールは北朝鮮側にある」と前向きの対応を促した。北朝鮮は米国の政権交代の好機を逃さず真剣に核廃棄への歩みを進め、日朝正常化交渉にも誠意を持って当たるべきである。
米議会でも北朝鮮の核を巡る論議が始まり、下院外交委員会の公聴会で北朝鮮との交渉にかかわった専門家が証言した。チャールズ・プリチャード元特使は「日韓両国との協力無しには、非核化の目的は達成されない」と、米日韓の合意形成で声を一つにする必要を強調した。特に日本については政治的に敏感な拉致問題をオバマ政権が理解するよう求めていることや、ブッシュ政権によるテロ支援国家指定解除に対する不満にも言及、さらにミサイル開発計画への懸念に十分配慮する必要を訴えた。北朝鮮は2006年7月、弾道ミサイル発射凍結の約束(1999年以降表明)を放棄して、7発の弾道ミサイルを発射した。核兵器の小型化・弾頭化が進み、射程1300キロのノドン・ミサイルに搭載されれば、核攻撃の直接の脅威にさらされるのは、米国より、まず日本である。
弾道ミサイルについては、6カ国協議の次席代表を務めたビクター・チャ博士が、北朝鮮政策全体のパラダイム・シフトを提唱した中で取り上げ、6カ国協議の作業部会の一つとして取り入れるべきだと主張している。同博士は、北朝鮮がオバマ政権を試すために新たな挑発を試みる可能性を指摘し、対北朝鮮外交の三原則を掲げた。(1)外交による平和的解決、(2)核問題の多国間アプローチを通じた対応、特に協議の座長を務める中国との協力の重要性、(3)北朝鮮の非核化が本物かどうかの完璧なテスト。危機を作り出しては、より高い対価を要求する北朝鮮の瀬戸際外交を熟知した専門家にしても、北朝鮮の真の意図を読み切れず、非核化交渉の難しさを率直に認めざるを得ない。第2期ブッシュ政権のように、合意を急ぐあまり、アメを先に出しては、ただ取りされるだけだ。日朝平壌宣言(2002年9月)に基づく日朝正常化の条件として、核、ミサイル、拉致の3問題の解決という日本政府の3点セットの交渉方針は堅持する価値がある。
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