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2009-02-26 00:00
内容空疎だった日米首脳会談
吉田 康彦
大阪経済法科大学客員教授
麻生訪米は、政権浮揚のための個人プレーにすぎず、日米首脳会談の内容は空疎だった。国際外交では、プロトコール、つまり相手をどう遇するかが重要で、メンツを重んじ、相手のプライドを満足させて、良好な関係を維持することが、心構えとして不可欠だ。オバマ政権の政策ブレーンは、日本政府と国民が「米国は、日本軽視・中国重視のアジア政策を打ち出すのではないか」と疑心暗鬼になっていることを察知し、ヒラリー・クリントン国務長官のアジア歴訪の最初の外遊先を日本とし、さらに、訪日時に麻生訪米を発表させて、オバマ大統領と会談する最初の外国首脳として、麻生をホワイトハウスに迎え入れた。
ヒラリーは、国務長官指名承認の上院公聴会で「日米関係は、アジア太平洋地域における corner stone (礎石)だ」とぶち上げ、日本滞在中もこの言葉を繰り返した。さらに麻生を迎えたオバマは「日本は偉大なパートナーだ」と持ち上げて、日本人のプライドをくすぐった。
しかるに日米首脳会談の内容は空疎だった。外国首脳を迎えて催される恒例の昼食会も、夕食会もなく、会談後の共同記者会見もなかった。CNNは「たった1時間の会談のための1万1000キロの長旅」と麻生訪米を皮肉り、米国メディアもほとんど無視した。メディアの関心は当日(2月24日)午後から上下両院本会議でオバマが行った施政方針演説に集中した。オバマにすれば、この方がはるかに重要で、過密スケジュールに、(まもなく退陣を余儀なくさせられるに違いない)麻生が乗り込んできたというわけだ。
日本の新聞は「重層的日米同盟」と訪米の意義を強調したが、要するに、日本が金融危機・地球温暖化対策、アフガン支援などで資金協力し、その代わり拉致問題解決への米国の影響力行使を期待するというものだ。「北朝鮮のミサイル発射準備(北は「人工衛星打ち上げ」と予告)をけん制」と見出しで報道した新聞(たとえば毎日新聞2月25日)もあるが、見当違いだ。北の計画には何の影響もなく、麻生訪米など眼中にない。
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