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2009-03-17 00:00
(連載)政局にうろたえず、着実に政策実施を(2)
角田 勝彦
団体役員・元大使
他方、遅くも6ヶ月以内に行われる次の総選挙で、政治への信頼を取り戻し、国民の支援の下に国の進路を指し示せるような政権が生まれる、ことを期待できないことも明らかである。たとえば野党への政権交代が実現した場合、野党各派の安全保障関係の見解はどう纏められるのだろうか。それに、小選挙区制とマニフェスト(政権公約)で政治の質の向上が期待されたが、実際は当選することだけに血道を上げ、テレビで顔を売ることに熱心な政治家が多くなっている。
3月11日付『ニューズウィーク』誌日本版は、麻生首相の顔写真の下に「ポンコツ政治:なぜ、世界第2の経済大国に無能な指導者しか生まれないのか」と題する表紙を作り、G7における中川前財務・金融担当相の醜態と辞任のニュースを例に、永年の自民党支配の弊害を指弾し、民主党に期待する記事を掲載していた。しかし、政治に即効を期待すべきでない。マックス・ウェーバーが述べたように、「政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、堅い板にじわっじわっと穴をくり抜いていく作業」である。安定政権がすぐ生まれなくても、焦るべきではない。
また、英雄待望論は危険である。チャーチルは「民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けばだが」と喝破した。実際、いま経済情勢悪化を背景に、中東欧各国などで大衆迎合のポピュリズム政党や極右政党の台頭が見られる。中国では13日閉幕した全人代では「調和社会」に代わり「共産党の指導」と「安定」が強調されている。「安定」のために権力が法を上回る「人治」が望ましい姿なのだろうか。
幸い、我が国と同様に多くの問題を抱える諸外国、なかでも米国では、「政権移行の可能性は、民主主義国家では当然ある。(政権の不安定に)日本が引け目を感じる必要はない。オバマ政権の対日姿勢は、日本の内政事情に関係ない。米日両国は世界1、2位の経済大国として金融危機に取り組まなくてはならない。予想される北朝鮮のミサイル発射にも、緊密な連携が必要だ」(3月8日付東京新聞掲載のオバマ政権移行チームで対日政策を助言したシーラ・スミス米外交問題評議会上級研究員インタビュー)との声が聞かれる。政府も国民(マスコミを含む)も、政局のみに心を奪われることなく、有能な官僚機構を活用して、着実に内外の難局に対応し、国際的責務を果たしていく姿勢をとるべきであろう。(おわり)
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