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2009-04-05 00:00
人工衛星とミサイルの間の一線は自明ではない
山田 禎介
ジャーナリスト
「人工衛星だ」、「弾道ミサイルだ」と、情報の飛び交った北朝鮮の「テポドン2改良型」の打上げだったが、国連安保理まで巻き込むこの問題は、衛星打上げ用ロケットと軍事用長距離ミサイルの間には、技術のグレーゾーンが存在することを改めて浮き彫りにした。これは日本が「衛星打上げとそのロケット開発を、平和目的、科学技術の開発のためのものだ」と主張し、また国民がそう解釈しても、世界にはそうとらえない空気が存在することを、逆に示すものでもある。
米ニクソン政権・フォード政権で国家安全保障担当大統領補佐官、国務長官を勤めたヘンリー・キッシンジャー氏は、かつて日本のテレビとのインタビューで「21世紀内に日本が核武装する可能性がある」と指摘し、その根拠として、日本がすでに衛星打上げ能力を持つ「長距離」ロケットを保持し、それを軍事的に転用することが可能であることを挙げた。将来、日本が核保有をする可能性についてのキッシンジャー氏の発言は、このほかにも機密指定を解除された米公文書にみられる。
キッシンジャー氏が指摘した日本の「長距離」ロケット技術というものは、日本側からみれば衛星の打上げのためのものであり、総務省・文部科学省の所管下で、防衛・軍事とは明確に切り離されている。このことは日本国民には常識で、キッシンジャー氏の指摘が現状では説得力がないことは、筆者も重々承知している。だが、ある時代の世界の現実外交を仕切り、米中国交回復の下地をつくったキッシンジャー氏のこの発言・指摘は、妙に気になることではある。
いかに日本の人工衛星の打上げが科学衛星の打ち上げであっても、超大型ロケットが噴射されるその打上げシーンをテレビ映像で見せつけられる世界の眼には、必ずしもそうは映らない可能性がある。平和国家を標榜する日本について、日本人は世界も同様に解釈するものとみがちだが、日本に関する世界のイメージはさまざまである。日本の海外への情報発信には、心せばならぬことが多々あると思う。
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