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2009-04-06 00:00
防衛大卒業生の任官義務を明文化せよ
大藏 雄之助
評論家
防衛省は、海賊対処水上部隊の海外派遣や北朝鮮のミサイル実験対応で注目されているが、その組織改革はおくれている。制服の自衛官が内局の長に就任することは、国防の文民支配を侵すことにはならない。日本国憲法第66条2項の「内閣総理大臣その他の国務大臣は文民でなくてはならない」という条文も、自衛官出身の中谷元氏が閣僚に任命されたことで、すでにクリアーされている。
「戦争は軍人に任せるには重すぎる」ために、欧米では普通の大学で軍事学が教えられているが、日本では大日本帝国憲法で統帥権の独立が定められているとして、陸海軍が軍事に関する事項を独占し、文官が軍事に介入することを極度に嫌った。そこで帝国大学でもあえて軍事学を履修科目とせず、戦後の新制大学では軍事を議論すること自体が平和に反するとされるような傾向が見られた。防衛省の内局幹部に制服が登用されたからといって、戦前の陸軍省や海軍省のように軍人一色になることはあり得ない。職業軍人が参与することによって軍事情報の省内伝達は促進されるから、風通しはかえってよくなるだろう。
この際もう一つ是非とも明文化すべきものは、防衛大学校卒業生の任官義務である。防大生は公務員として給与を支給され、寮費・給食も無料であるのに、卒業後任官を拒否しても費用の返還義務が一切ない。一方で、防衛医科大学校出身者については、医官養成費が高額であるという理由で、任官を拒否した場合には、在学期間中の養成費相当額の返還が要求されている。このようなことは金額の多寡で決めるべき問題ではあるまい。
戦前の軍学校でも、師範系の学校でも、国の給付を受けた者には就業の義務があり、それに反した時は費用を弁済しなければならなかった。育英会の奨学金も卒業後には返納の義務がある。今年の拒否者は35人、過去最高は94人で、幹部要員確保にも支障をきたすし、防大だけに例外を認めるのは、大きく言えば、正義に反する。
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