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2009-04-06 00:00
米ロ核軍縮交渉合意と日本の対応
坂本 正弘
日本戦略研究フォーラム副理事長
北朝鮮ミサイル発射問題を巡る情報の交差する中、米ロ首脳は4月1日、本年末終了のSTARTIの後継条約締結のための核軍縮交渉発足に合意した。さらに、オバマ大統領は4月5日「核兵器なき世界」に言及し、そのための包括交渉を提案し、また米国のCTBT批准を表明した。筆者は昨年4月17日の本欄で「現実主義者としての核廃絶論」を述べたが、現実主義者として以下の提案をしたい。
米国では「核のゼロ・オプション」が2007年1月、08年1月にキッシンジャー、ペリーなど4人の識者の連名によって提案されていたが、本年末公表予定の「米国核戦略再検討」でも「核のゼロ・オプション」への言及はあると想定されていた。今回のオバマ大統領の提案は、2010年に予定されるNPT再検討会議を控え、米国の主導性を強化することが狙いだが、他にもいくつかの目的があると考えられる。第1は、核拡散防止であり、核による9.11の再現阻止である。第2は、老朽化する核弾頭の整備などで必要な膨大な核体制の維持コストを削減すること。第3は、国際的核軍縮を実現できれば、結果として逆に通常兵力での米国の圧倒的優位が際立つこと。第4は、戦略核の交渉は米ロ間の問題だが、中国の核への関与も視野に入れたものではないか。
今冬、ワシントンを訪れた際「米国の核弾頭が1000以下になったら、日本は米国の拡大抑止に疑念を持つか」との質問を受けた。米国の拡大抑止の対象は、北朝鮮もあるが、より重要なのは中国である。中国は戦略核を30ぐらい保持し、それ以上は増加させていない。これは米国への配慮が大きいと思われるが、有人衛星を打ち上げる技術力は、いつでも戦略核を多数配備できる能力を持っていることを示している。しかも、地域核では500近いものを有しており、アジア諸国を睨み、近隣諸国の安全保障に脅威を与えている。さらに、台湾前面では1000近いミサイルを配備した基地を展開している。
核保有国はNPT条約により、核軍縮に努めるべく、義務付けられている。米ロの軍縮の進展は、当然に中国の核戦略にも影響するが、それは地域核を含んだものであるべきである。かつて、ソ連のSS20に対し西欧はパーシング2型ミサイルを配備し、これが欧州でのINF協定成立の切っ掛けとなり、地域の平和が実現している。当時、中曽根首相はG7で、ソ連のSS20の極東配備に強く反対し、実現した。日本はこの経験を生かすべきである。来年のNPT会議を控え、米ロが核軍縮交渉を進める中で、日本は、戦略核のみならず、地域核の軍縮提案を強く推進すべきであると考える。
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