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2009-04-07 00:00
(連載)金融サミットと日本がなすべき貢献(1)
角田 勝彦
団体役員・元大使
世銀が、3月31日の最新の経済見通しで「2009年の世界全体の実質成長率は、マイナス1.7%まで落ち込む」と予測したなか、4月1~2日にロンドンで開催された第2回金融サミット(日米欧に新興国を加えたG20首脳会合)は、2010年に世界経済の成長率を2%に回復させるため「あらゆる行動をとる」などの宣言を採択した。G20メンバーのGDP合計は世界全体(2007年54兆5849億ドル)の87%を占める(米国は世界の25%、日本8%、中国6%、ブラジル・ロシア・インド・韓国は各2%、なおEUは31%)。
G20首脳宣言は、参加国の2010年末までの財政出動が総額で5兆ドル(うち米国が最大の2兆ドル、日本は2番目の約6,000億ドル)にのぼる旨、また、これで世界の成長率を4%引き上げ、数百万人(素案では1900万人と明示)の雇用を維持、創出するとしている。今回の金融サミットは、(1)危機的状況にある世界経済の成長と雇用の回復(追加財政支出と量的金融緩和など)、(2)そのための保護主義の阻止(及び通貨切り下げ競争の抑制)と貿易金融への支援拡大(2年間で最低2500億ドル)、(3)途上国の支援、(4)百年に一度と言われる今回の金融危機の再現を防ぐための金融監督・規制の見直し(ヘッジファンド、タックスヘイブン、格付け機関などの規制へ)、(5)国際金融機関改革(新興国の発言権拡大へ)などで合意した。
米国が一時主張した追加財政出動の数値目標設定などはできなかったものの、まずまずの成果を達成した。市場もこれを好感し、週末3日のNY株は、4日連続の上昇で、約2カ月ぶりに8000ドルを回復した。もちろん多くの問題がある。とくに、これで実際に世界経済の成長と雇用の回復が可能かという問題がある。世銀は、2010年の見通しで「世界全体の成長率は2.3%、日本は1.5%、米国は2.0%まで回復する」と見ている。とくに、米国が問題で、その3月の失業率は、1983年11月以来の高水準の8.5%に達した。自動車産業の行く末も危惧される。
貿易も、WTOによると、「2009年の世界輸出は、実質で前年比マイナス9%」と戦後最悪の予測数字で、途上国・新興国へのダメージが懸念される。ドーハ・ラウンドの大枠合意の時期も示せなかった。金融サミットの前にロンドンで死者まで出すデモが行われたことが示すように、先進国への批判もある。しかし、グローバリゼーション(私は「世界一体化」と訳している)は不可逆的であり、世界は強い相互依存の関係にある。社会主義(国家管理)経済の失敗から見ても、市場経済は、規制はされつつも、基本システムとして続いていくだろう。(つづく)
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