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2009-04-12 00:00
輸出喪失は、日本経済の死か?
河東哲夫
Japan and World Trends代表
今、輸出の50%が失われたと言って、大騒ぎになっているが、新聞を見れば1982年くらいの輸出水準に戻ったとある。1982年といえば、日本がちょうど今の中国のように対米輸出で経済を膨らませていた時期だ。ならば、いいではないか。GDPが下がる?いやそうでもない。初歩的なことだが、輸出は、その総額がGDPに算入されるわけではない。輸出マイナス輸入、つまり貿易黒字が算入されるのだ。そして今、輸出だけでなく輸入も減っていて、貿易黒字は維持されているのだから、GDPもめちゃ減りするわけではない。
政府の税収が減る?確かに、輸出企業の利益が落ちれば、そうだろう。だが、経済全体で見れば、上記のようにGDPがそんなに下がるわけではないので、税収もそれほど落ちない、という理屈になる。だから、今の内需拡大議論は、少し行き過ぎではないか?ただ、他の国が財政支出拡大、内需拡大ということでやりだすと、その国はインフレになって通貨のレートが下がってくる。つまり世界的な内需拡大の大合唱というのは、実は隠れた通貨切り下げ競争でもあるのだ。
ならば日本も、あとで一国だけ円高の憂き目を見ないですむよう、今のうちからインフレ気味にしておこう。こういう議論ならわかる。でも、世界はいつまでそうした「背伸び経済」を続けるのだろう?もともと、米国の金融テクニックで、世界の資金量が実体経済に必要な量をはるかに超えてしまったこと、そしてその資金が作り出す桁外れの需要をめがけて、モノを作りすぎてきたことが、今回の不況の原因なのだ。
日本の輸出、そして日本経済の成長が、そうした不健全な「経済膨らし粉」に依存していたのであれば、それは今回こそぎ落とす方がいい。そして財政支出の拡大は、構造改革の方に集中させるのだ。と言っても、各省毎の予算配分枠はなかなか変わらないから、「構造改革の方に集中させる」などというのは、書生論議かもしれない。せめて、少しでも意味のある支出になってほしい、というところだろうが。
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