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2009-04-12 00:00
フランスのNATO復帰は時代の流れ
浅野 勇樹
大学院生
4月4日付け本欄への投稿「(連載)脱皮しつつあるNATO(1)」において、矢野卓也氏は「(フランスは)首脳会議をもってNATOに完全復帰することとなる。フランス国内で反対論が強い中での、サルコジ大統領の英断である」と指摘している。私も同感である。
フランスは、核保有を追求して、1995年にムルロア環礁で核実験を行ない、世界、とりわけ欧州の世論から猛烈な反発を招き、実験回数の削減に追い込まれた。フランスの安全保障政策は、伝統的な勢力均衡の考え方によるものであり、その観点から独自の核抑止力を保持し、自立を図っている。そして、フランスが核を保有する理由は、究極的にはフランスの国土と死活的国益を守るためであると主張している。しかし、その理由が正当化されるならば、全ての独立国の核保有が許されてしまう。核保有を正当化するには、フランスのみならず、欧州の安全保障における意義、またはNATOにおける意義を示さなければならないであろう。
今日の国際情勢を考慮すると、フランスが独自に国防を考える意味づけは、ひと昔前とは異なっている。まず、9.11テロ以降、防衛政策の目標は、紛争予防と危機管理を重視しつつあり、他国との連携が不可欠である。さらに、仏独両国は互いに自国の外交官を相手国の外務省に常駐させるところまで同盟関係を築いた。もはやフランスは、ドイツの意向を無視することはできない。今後NATOあるいはEUが発展し、信頼関係が醸成されればされるほど、フランス独自の国防の意味合いは薄まる。
このように、フランスの国防問題は、もはやフランス1国だけでは対処できない性質のものとなっている。フランス国内で反対論が強くても、サルコジ大統領がNATO復帰の決断を下さざるを得なかったのは、このような時代の流れの変化によるものであろう。
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