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2009-04-24 00:00
中国重視を前面に出してきた米国
河東哲夫
自営業
4月23日付の『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、米中協力を強く呼びかけるウィリアム・コーエン元国防長官のオピニオン投稿を掲載した。一言で言えば、「金融・経済、環境、北朝鮮核化阻止等の問題を解決していく上で、中国は非常に重要な地位にあるので、古くからの敵意を捨て、建設的な協力を進めなければならない」というもので、目新しいことではない。だがオバマ政権発足以降、アメリカの大新聞で対中協力を正面から呼びかけたものは、これが初めてではないか?しかも、『ウォールストリート・ジャーナル』と言えば、わりと保守的な新聞だ。そして大衆レベルでの影響力が大きいFOXテレビも持っているメディア王ルパート・マードックの所有になるものなのだ。
2年前、米国のタクシー運転手と話していて、かれが「中国は、既に世界1の経済大国になった」と信じ込んでいるのに驚いたことがある。そういう中で、フォックスTVなどに「中国は重要だ」「中国は重要だ」と何回も刷り込まれると、「米国は、これからは中国と組んで世界を仕切っていくのだ」とかれらは思い込んでしまうだろう。そしてそれに抵抗する国はうるさがられるか、悪くすると敵視されることになる。以前から日米離間を策する一部の中国人達は、そこに塩を擦りこみ、傷口をますます大きくしようとするだろう。
従って、日本は徒にヒステリックになることなく、他方コーエン氏のようなロビーストも仲間に引き込んで、「日米関係がしっかりしていてこそ、米国は中国との関係を安心して進められるのだ」という点をしっかり、かつ上品に、米国世論に刷り込んでいくべきだろう。
日米関係がしっかりしているからこそ、米国は「日本は大丈夫だ」と思って、何も言わない。さりとて日本が何も言わないでいると、「日本はいつもついてくる」と思われて、甘くみられる。さりとて自分は「ここにいるよ」と騒ぎすぎても、今度はうるさがられる。そこらへんのバランスをうまくとりながら、自国の利益、東アジアの利益をはかっていかなければならないのだと思う。
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