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2009-04-29 00:00
(連載)中曽根外相の「核軍縮」演説を聴いて(2)
角田 勝彦
団体役員・元大使
とくに我が国として努力すべきは、中国の本構想への参加である。北朝鮮のミサイル発射以来、安全保障問題に関する国民の関心は高まり、核武装論まで討議されている。しかし、核戦争が始まれば双方の破滅である。4月20日河村官房長官が記者会見で述べたように「核を持つ選択肢は、日本にないことは明白である」。我が国としては、早期警戒衛星やミサイル防衛(MD)を含む抑止力の強化を図ることは別として、外交による安全保障が第一と考えるべきである。8月にも予定されている日中韓首脳会談が示すように、中国との「戦略的互恵関係」の構築は引き続き推進されている。
しかし、他面、中曽根外相の27日演説が指摘しているように、「中国はその戦略的方向性が不透明な一方、核軍備の近代化を進めており、これまで核兵器削減にとり組んでおらず、情報開示をいっさい行っていない。核兵器削減を含む核軍縮措置を行うことが、世界的核軍縮の前進のために必要不可欠であり、米ロが核軍縮努力を行っている間は、ミサイル等の運搬手段を含む核兵器開発を凍結することが必要である」。ちなみに、4月に始まった米ロ核軍縮交渉が年末までに妥結すれば、両国の核弾頭数は100~1500個になり、中国の176個の重要性はより大きくなる。
中国国防費の伸びは、この20年間、対前年比2ケタ増を続けている。4月23日の海軍創設60周年国際観艦式で示されたように、中国は東シナ海から西太平洋に向けた外洋型海軍の建設を目指す姿勢が顕著である。戦略核搭載型の原潜も公開された。台湾の馬総統は「台湾を標的にした1000基以上ものミサイル配備は、今の雰囲気にそぐわない。中国の指導者が考慮すべきだ」と指摘しているが、「(日本向けも含めた)中距離弾道ミサイルが増加している」との軍事専門家の分析もある。
我が国としても、これまで必ずしも黙っていたわけではない。事務レベルの2008年12月の「日中軍縮・不拡散協議」などで削減努力を促した例がある。また本年2月28日訪中した中曽根外相から、中国の軍事力の増強・近代化等の動きへの懸念を率直に述べ、抑制的対応と透明性向上を求めた。しかし首脳外交となると重みが違う。国際的反響も呼ぼう。麻生首相は、4月末の訪中に際し、中国首脳に、核(ミサイル等運搬手段を含む)軍縮への努力をはっきりと要請すべきである。(おわり)
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