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2009-05-07 00:00
日米同盟の在り方を問う
大藏 雄之助
評論家
同盟というのは、独立国間で相互の利益のために締結するものであるから、その基礎になる条約にはいろいろな形がある。EUの前身のヨーロッパ共同体(EC)は関税同盟だった。だが最も強力かつ重要なものは、かつての日英攻守同盟とか、日独伊三国同盟のような軍事同盟である。わが国とアメリカとの関係はしばしば日米同盟といわれるが、日米安全保障条約だけで同盟に値するか否かに関しては、議論の余地があろう。最近のアメリカ政府は、本来対立関係にあるはずの中国や北朝鮮に対する配慮が多く、日本の防衛を軽視しているように思う。
イギリスとアメリカは文書なき永遠の同盟国と称している。私がロンドンに駐在していた1964年8月に北ヴェトナムの哨戒艇がアメリカの駆逐艦を雷撃したという、いわゆるトンキン湾事件が発生した。これを契機にアメリカは北爆を開始したが、当初から真偽が疑われていて、のちにアメリカ軍の策略だったことが判明した。この時イギリス外務省は「事実を確認する手段はないが、同盟国の正式発表はそのまま信頼する」と明言した。
けれども、イギリスが最大の友好国に対して常に追随するわけではない。当時民間航空はすべて二国間協定で、相互乗り入れや以遠権の改訂は give-and-take が慣例となっていた。一方で、change of gauge のルールがあり、外国の航空機は、自国から運んできたよりも多くの乗客または貨物を相手国で積み入れて、第三国に輸送してはならないということになっていた。ところがアメリカは戦後の一時期、ほとんど世界の空を独占していたために、既得権としてその規則を無視していた。イギリスは度重なる抗議の末、アメリカとの航空協定を破棄した。両国間の航空輸送は突如空白になった。2日後にアメリカは新たな協定に応じ、英米の航空は対等の関係になった。
在日米軍の再配置をはじめ、日本政府がワシントンに遠慮して、言うべきことを言わないのは、真の友好に反する。
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