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2009-05-18 00:00
(連載)核を巡る国際環境の変化と日本(1)
鍋嶋 敬三
評論家
オバマ米大統領による「核兵器のない世界」についてのプラハ演説に続いて、中曽根弘文外相が「ゼロへの条件:世界的核軍縮のための『11の指標』」と題する政策演説を行い、核軍縮、核不拡散への機運に拍車がかかったことは望ましい展開である。日本が毎年国連総会に提出している核軍縮決議案は圧倒的多数で採択されているが、米国がインドや北朝鮮と反対に回ってきた。オバマ政権は第一次戦略兵器削減条約(STARTⅠ)の後継条約の年内交渉妥結、包括的核実験禁止条約(CTBT)批准を求めることなどを表明、2010年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議など核軍縮に向けて新たな展望が開ける兆しも出てきた。
しかし、NPT非加盟国のインド、パキスタン、イスラエルの核兵器保有、北朝鮮やイランの核開発など核拡散の脅威は増すばかりだ。「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則を持つ日本は、米国とともに核軍縮、不拡散に主導的役割を果たす責任がある。米議会に設置された戦略態勢委員会が米国の核戦略についての報告書をまとめ、委員長のペリー、副委員長のシュレジンジャー両元国防長官が5月7日上院軍事委員会の公聴会で証言した。報告書は核を巡る国際環境の変化に米国がどのように核戦略を再構築すべきかについてまとめたものだ。この委員会は民主、共和両党にまたがる超党派の専門家12人で構成され、同盟国との関係を含めた今後の核戦略の策定に大きな影響力がある。
米国の「核の傘」に自国の安全保障を委ねている日本にとって、今後の日米戦略対話に少なからぬ影響を与えるだろう。米国の核戦略の中心的なジレンマは、核兵器が米国の安全保障の重要な保証人でありながら、最大の潜在的な脅威でもあることだと報告書は指摘する。国際的な核秩序の崩壊が、米国にとっても破滅的なものになる。中でも緊急を要するのは、核拡散の瀬戸際に立たされていることである。核の秩序を維持するためには、(1)効果的な抑止力、(2)軍備管理、(3)核不拡散によって、核の危険性を減少させることが必要である、と説いている。(つづく)
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