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2009-05-19 00:00
(連載)核を巡る国際環境の変化と日本(2)
鍋嶋 敬三
評論家
包括的な核戦略の必要が生じた背景は、冷戦終結後20年間の変化である。米国とロシアの戦略核、戦術核とも大幅に削減され、米国の安全保障戦略にとって核兵器への依存度は大幅に減少した。その一方で、核テロリズムと核拡散という新しい挑戦に直面している。地域的な核攻撃に対してはミサイル防衛の有効性を説き、開発と適切な場所への配備を主張している。核兵器の使用に関して米国は、自国と同盟国を守るためにだけ使用するという意図を敵、味方双方に鮮明にしておくべきだ、と報告書はクギを刺している。
ペリー氏は、核兵器がテロ組織の手に落ちた場合「われわれの安全保障にとって極めて重大な脅威になる」と述べた。アルカーイダが核兵器の入手を「聖なる義務」と公言していることを指摘、「伝統的な抑止力が効力を持たない」ためとしている。また北朝鮮、イランの核開発によって核拡散の崖っぷちにたたされている、と警戒感をあらわにした。一方でオバマ演説に対するロシアの好意的反応は好材料として核関連条約を含めより広範な戦略対話をロシアとの間で深化させること、北大西洋条約機構(NATO)や日本などアジアの同盟国、中国との間でも戦略対話を強化するよう提言した。
シュレジンジャー氏はNATO拡大による中東欧の新加盟国がロシアの戦術核兵器を懸念、中国の核戦力の増強によって米国の核兵力に対する要請も変わってきたと指摘。日本とはNATOの核計画グループと似たような包括的協議に関与させる時が来ており、それが同盟国に対する核抑止力への信頼性を高めることになると主張しているのが注目される。日本政府は核をタブー視して、日本の安全保障と米国の核の傘の関係を具体的に論議することを避けてきた。東アジアの軍事的危機の時に米国の核の傘はどのように日本を守るのか。第7艦隊、在日米軍、自衛隊の役割は何か。核兵器とからむ議論は、政府側では極力封印されてきた。
中国や極東ロシアの核戦力、核を保有する北朝鮮の弾道ミサイルの長射程化、命中精度の向上など著しい技術開発の進展に伴って軍事的な脅威はさらに高まった。日本が米国の核戦力を抑止力としてどのように期待するのか、日本自身の戦略構想がなければ、日本の安全は守れない。(おわり)
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