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2009-06-05 00:00
(連載)自民党「防衛大綱」提言の防衛費縮減撤回要求(1)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
我が国を取り巻く安全保障環境は、短期~中期的には北朝鮮の核および弾道ミサイル、中長期的には中国の海洋および宇宙への進出に象徴されるように、悪化こそすれ好転する要素は一つも見当たらない。にもかかわらず、平成15年度予算以来、財政改革の錦の御旗のもと、防衛費・防衛力の縮減を続けてきた。しかも、制空権・制海権の確保が我が国の安全保障に必須であるにもかかわらず、海・空の正面装備の削減までも進めてきた。これは、異常なことと言わざるを得ず、同盟国である米国による負担の分担(バーデン・シェアリング)の要求にも反しており、本土防衛の観点からも、日米同盟の信頼性確保の面からも、看過できないものとなっている。さらに国際平和協力活動への貢献も自衛隊の本来任務とされている。これでは、自衛隊は十分な対応ができなくなる。
新しい安保環境から期待される防衛力に対して、縮減されつつある防衛力では、質・量とも不十分となっており、陸海空自衛隊ともやりくりの限界を超えている。具体的数字としては、どんなに効率化しても、防衛費はGNPの2%ぐらいは必要ではないかと言われている。現在の数字は1%前後であり、さらに漸次減らしていくというのである。オーストラリアが4月に発表した「防衛白書」で、中国を念頭に海軍力中心に大増強を行うと宣言しているのと比べれば、周辺国との対応の差が際立ち、一層奇異なものと映る。
このような「財政至上主義」に基づく不合理な防衛費縮減政策を撤回すべしという内容が、自民党が年末の「防衛計画の大綱」改定に対して行う提言の最終案に盛り込まれた。最終案は「提言・新防衛計画の大綱について」と題するもので、党国防部会の防衛政策検討小委員会(今津寛委員長)が5月26日の原案を修正したものだ。政府の経済財政政策の指針である「骨太方針」に従って行われている平成15年度予算以来の防衛費・防衛力の縮減方針を撤回して、防衛費と自衛官を維持・拡充せよ、との政府への要求を新たに明記した。
さらに、最終案は「安全保障能力の整備は一般の公共事業と同列に扱われるべきものではない。諸外国の防衛力整備状況も考慮して、必要な予算及び整備基盤の維持・拡充を行うべきだ」と、全く合理的な理由づけをしている。これは、日本を除くアジアのほとんどの国が、防衛費を削減せず、防衛力整備に努めている、ことを念頭においたものである。最終案の最も重要なポイントは、この防衛費縮減政策撤回要求であるといっても過言ではない。これは、是非とも採用していただきたい。財政の均衡だけに目を奪われて、国家自体の存立が危うくなってしまっては、本末転倒である。(つづく)
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