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2009-06-12 00:00
総選挙後の連立パターンをシュミレーションする
杉浦正章
政治評論家
総選挙後の連立政権のパターンはどうなるか。6月11日に社民党が次期衆院選後に民主党との連立政権樹立に向けた協議に入る方針を決めたことにより、民主党が勝てば「民主・社民・国民新」の3党連立の流れは現実のものとなるだろう。しかし「自民・公明」連立が維持できるのか、大連立の可能性はどうなのか、「民主・公明」の連立はないのかなど、選挙結果で動くから展開は複雑だ。これに政党分裂による政界再編もからみ得る。なんでもありの状況を展望してみる。まず、選挙のカギを握る投票率について、首相・麻生太郎が11日「高いほうがいい」と述べたが、これは間違いだ。自民党にとっては選挙対策委員長・古賀誠の「投票率はあまり高くないほうがいい」が本音だ。
今回の選挙の勝敗は、やはり浮動票が左右する。まず投票率は高ければ高いほど自民、民主両党に得票が集中し、両党決戦の様相が強く浮き出る。固定票に頼る公明、共産は沈むのが流れだ。しかしその場合でも、浮動票の流れは、自民党には向かわないだろう。浮動票の浮動票たるゆえんは、現状否定にあるからだ。かって首相・森喜朗が「無党派層は寝てしまってくれればいい」と発言して、物議をかもしたが、その通りだ。そこで480議席の過半数241議席を各政党がいかに達成するかだが、問題が生じないのが民主党単独での過半数達成である。この場合は参院での議席不足を社民党が補わなければならないから「民主・社民・国民新」のパターンが成立して、衆参のねじれが解消する。民主党圧勝の場合は、安全保障をめぐる食い違いがある社民党が閣外協力となる可能性もないわけではない。自民・民主がいずれも過半数を取れずに、比較第一党が民主党の場合も、やはり「民主・社民・国民新」のパターンとなるだろう。
自民党が比較第一党の場合は、「自民・公明」連立が維持されよう。比較第一党を取れなくても、自民党が210議席取って、公明党が現有議席の31を確保すれば、過半数は維持できる。次に、中曽根康弘が11日表明した「自民党と民主党のいずれが勝つにしても、議席数は接近した結果になり、大連立の可能性が出てくる」との読みは、まず的外れになるだろう。自民、民主両党とも他党との連立で政権が樹立できれば、その方向に向かうのであって、わざわざ大連立を組む必要がない。それに今回の選挙は政権交代を賭けた選挙であり、大連立は有権者の意思に反する。
中曽根は「公明党がどちらにつくのかという問題も出てくる」と述べ、公明党が民主党との連立に加わることへの懸念を示した。しかしこれもまずない。公明嫌いの小沢一郎がネックだ。代表・大田昭宏の選挙区に自分が立つ可能性をいまだに残していて、大田を激怒させている。「民主・公明」のパターンも的外れだろう。大勲位・中曽根は近ごろ衰え始めたのであろうか。「自民・公明・共産」の“国共合作”は話として面白いが、まず無理だろう。こう見てくると大きな流れは「民主・社民・国民新」か「自民・公明」かの選択となってくるだろう。しかし自民党が大敗した場合には、同党が分裂して政界再編に向かう可能性もありうる。民主党から加藤紘一らへの働きかけがなお続いているといわれ、選挙後は百鬼夜行となるだろう。
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