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2009-06-12 00:00
(連載)角をためて牛を殺す国家公務員制度改革(2)
角田 勝彦
団体役員
もちろん、以上は、民主党中心政権への政権交代を前提としている。実際、5月民主党代表が小沢氏から鳩山氏に代わって以来、自民党にとって逆風が吹き始めている。6月8日付読売の全国世論調査では、麻生内閣の支持率は29.5%と前回(5月)を下回り、再び3割を切った。政党支持率は自民28.5%、民主27.7%だが、次期衆院比例選での投票先は民主39%で自民29%を上回った。政府は景気は1~3月期で底を打ったと、明るいムードをかき立てて、支持率上昇に結びつけようとしているが、予算の大盤振る舞い(たとえば「アニメの殿堂」117億円)に加え、財政規律のタガを外しかねない「骨太方針2009」作りに踏み切ったにかかわらず、4月の完全失業率5.0%などの現状から、その可能性は少ない。
さらに麻生内閣を支持しない理由として、「首相に指導力がない」が前回の21%から28%に増えている。厚生労働省分割・再編の問題や議員世襲の問題、さらに日本郵政の西川社長再任問題が響いているようである。これに対応して自民党は、与野党対決型の千葉市長選、静岡県知事選、都議選の地方選3連戦の勝利に期待し、とくに都議選について麻生首相が自民党の立候補予定者全員の応援に入るという異例の支援をスタートさせた。また首相は、衆院選のマニフェストの策定を本格的に始めるよう、6月7日党側に指示したが、これは6月17日に内定した第2回党首討論に備える意味もあろう。首相は、マニフェストの内容について「民主党との政権担当能力の違いを明確に示すようにしてほしい」と述べ、経済、社会保障、外交・安全保障政策に重点を置き、とくに経済、社会保障政策の裏付けとなる財源を明確に示すよう求めた。
我が国の広義の国家公務員数は、160.6万人(うち行政機関・議会・司法50.5万人、国防省・軍人30.9万人、公社公団47.7万人、政府系企業31.5万人)である(野村総合研究所 平成17年11月)。彼らは、戦前は「天皇の官吏」だったが、戦後は「国民全体への奉仕者」となった。しかも職務に応じ適宜人材を採用する米国型でなく、終身雇用を建前に試験により採用されている。人事院は一定の独立性を持った機関として試験などを担当している。地方公務員を含めた総数約538万人は、人口比では英仏米独よりかなり少ないのだが、これだけの人員が日々携わっている行政事務は、軽々に処理できるものではあるまい。なお米国の例を見ても、行政事務はしばらく拡大しそうである。
また、「公務員は民間以下の待遇で我慢しろ」とはいえない。中立性、廉潔性を守るためにも、身分の保障と正当な待遇が必要である。もちろん天下りなどは問題である。これに関し衆議院調査局は、06年度で天下りは4600団体、2万8000人に及び、年12兆6000億円の税金が流れていると指摘したが、これは誇大な印象を与えかねない数字である。2万8000人すべてが不要な高級官僚の天下りで、12兆6000億円が無駄と言うことはできまい。仕事の内容が問題なのである。第2回の党首討論やマニフェストにおいて、自民、民主両党が、政治と行政のあるべき姿を含め、公務員制度改革に関するその見解を明らかにしていくことが望まれる。(おわり)
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