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2009-06-23 00:00
(連載)個別事案に対する法相の指揮権を剥奪せよ(2)
角田 勝彦
団体役員
指揮権とは、検察庁法第14条に「(法相は)検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる」とある規定によるものであるが、この規定の本旨は、具体的事案については、やたらに検事に指図・命令したり、圧力をかけたりはできず、検事総長を通じてのみ指揮ができるとするものである。
すなわち、これは、行政機関ではあるが、準司法機関とも呼ばれる検察の独立性を尊重する趣旨にほかならない。この指揮権は、1954年の造船疑獄に際し、当時の自由党幹事長佐藤栄作の逮捕を延期させるため発動された例があるが、囂々(ごうごう)たる世の非難を浴びた結果、以来死文化し、政治が検察に対して関心を持つことすら、タブーとなってしまったといわれている。逆に、検察ファッショ(反民主主義的独走)も生じなかった。
司法権については、明治24年(1891)の大津事件以来の独立尊重の伝統がある。日本国憲法の規定もある。検察と警察の政治化はできるだけ避けられてきた。政府は、本年3月、人事院の反対を押し切って、首相官邸が主導して省庁の幹部任用を「一元化」することを含む国家公務員法改正案を国会に提出したが、検察と警察は対象外に置く方針をとったようである。政治的介入を防ぐ歓迎すべき方針である。
報告書の「指揮権への言及」には、与野党から疑問の声が上がっている。民主党の岡田幹事長も「我々の考え方とは全く違う」と述べた。6月19日、東京地裁で開かれた西松建設副社長らの初公判を機にさまざまの見解が述べられたが、逆に関心が高まったいまこそ好機である。議員立法などでも良い。個別事案に対する法相の指揮権を剥奪する改正を行って、憂いの種をなくすべきである。(おわり)
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