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2009-07-13 00:00
「麻生おろし」ではなく、「麻生解散」へ
杉浦正章
政治評論家
鳥瞰図で見れば、都議選後の政局は、「麻生おろし」が間に合わず、解散への流れは落下寸前のナイヤガラ瀑布のように止まるまい。麻生は12日深夜、解散の方針を党執行部および派閥の長に伝達している。それにしてもこのような危急存亡の時ほど政治家としての度量と品格が問われるときはない。都議選大敗が総選挙敗北に直結すると分かっていて、自ら選んだ責任はとんと忘れ、総裁を「おろし」にかかる自民党内反麻生グループのうろたえぶりは、見苦しいの一言に尽きる。都に「乱」がおきるたびに、「おじゃれ」「あらしゃれ」と御殿の廊下を右往左往する公家たちそっくりだ。ここは首相・麻生太郎の解散方針に従い、粛々と総選挙に臨み、国民の審判が「否」と出れば、それを受け入れて「再起」を期するのが気骨のある政治家のすることではないのか。読売新聞以外の朝刊一面に「麻生おろし」の見出しはおどるが、解散不可避の流れだろう。間に合うまい。自民党内の反応は、中川秀直や参院議員会長・尾辻秀久が念仏のように首相退陣を唱えているのが目立つだけだ。
古賀誠、伊吹文明ら派閥の領袖は解散反対に動かず、党執行部も麻生支持だ。これはと思う政治家がこういう時には馬脚を現わす。元首相・小泉純一郎がその筆頭だ。「麻生は解散できない。自発的に退陣すべきだ」と名前を明かさないこと条件にしゃべっている。首相経験者たる者、これだけのことを発言するなら堂々と面と向かって発言すべきではないか。「いまは負けをいかに少なくするかにかかっている」とも漏らしたが、自ら政治家を辞めてゆく者の発言ではない。未練がましい。都知事・石原慎太郎もそうだ。「彼だって射撃の選手だから解散を見送って見送っているうちに、的が飛んでいっちゃって弾が届かなくなるんだよ」と茶化しているが、都議選敗北の原因に「新銀行東京」の“文士の商法”がある責任を転嫁しようとしている。実に卑劣な発言だ。野中広務に至っては何と福田康夫復活論を主張している。切れ者野中も老いてこれまでか。総じて自民党は反主流と若手議員が、御所炎上のようなうろたえぶりだ。「麻生おろし」の動きは、民放テレビなど低級マスメディアの情報に増幅されて、政治家としての信念のないまま右往左往している。
政治家というより人間の原点に戻り、自分が信念で選んだ総裁を3人まで代えることのデメリットを冷静に考えてみるべき時だ。その気になっている舛添要一を担ぎ出しても、過去の女性スキャンダルですぐに身動きが取れなくなることを知らないわけでもあるまい。鳩山邦夫も愚鈍で無理だ。経験未熟な「女性首相」を考えても、国民は全く湧かないだろう。要するに、小泉が言うように「負けを少なくする」ことにはならないのである。国民の目はごまかされない。むしろ見苦しい。読売を除く全国紙の論調も朝日と毎日が麻生の手による解散を明確に打ち出している。反麻生グループは一か月もかけて見苦しい総裁選を繰り返してマスコミの支持を得られると思っているのか。反麻生を率いる元幹事長・武部勤と中川は「麻生おろし」が全党的にマイナスになっていることが分からないのだろうか。
少しでも負けを少なくするためには、永田町でうごめかずに、選挙区に帰ることではないのか。朝日新聞の世論調査でも「麻生おろし反対」が65%に達しているのだ。たかだか地方選挙の勝敗で首相のクビをすげ替えるのも、憲政の常道を逸脱する。ここは古武士のように、総選挙に負けたら負けを粛々と受け入れ、再起を期すしかないのだ。麻生が「いま選挙目当てに自民党が姑息(こそく)な行動を取ると国民に受け取られたら、自民党は終わってしまう。自民党の総裁としてしっかりと責任を果たしたい」と不退転の決意であるのは正しい。自民党敗北は首相一人のせいではない。紛れもなく自民党長期政権に対する歴史の審判でもあるのだ。首相の解散権は誰の束縛も受けない。祖父・吉田茂のようにここは「ワン・マン」になっても踏ん張るときだ。解散反対の閣僚は罷免されて当然だ。自民党は身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあることを知ることだ。
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