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2009-07-16 00:00
自民党は堂々と“分裂選挙”をすればよい
杉浦正章
政治評論家
自民党の“分裂選挙”を数々見てきたが、現在程度の分裂状態はまだ生やさしい部類だ。1980年のハプニング解散では、最終的に首相・大平正芳が死んで、自民党を大勝させ、決着がついた。反麻生の両院議員総会の署名の動きを、さめた目で見ると、「麻生おろし」が130人のうち半分であり、とても「おろせる」情勢にない。地方選敗北の総括は、一糸乱れず内閣不信任案を否決したことで政治的には決着がついている。党執行部は、開催すれば党全体にとってマイナスに作用することが目に見えている両院議員総会などに応ずる必要もない。マスコミも、新聞論調は麻生おろしに総じて反対、テレビのコメンテーターに至るまで、麻生おろしの動きに批判的だ。首相・麻生太郎は21日の解散に突入するしか展望は開けない。
80年の解散の場合、福田赳夫グループが大平正芳に対する不信任本会議を欠席して可決、大平は解散を断行した。反主流も戦術のないまま欠席して、解散となったため、ハプニング解散と名付けられた。自民党は分裂選挙に突入したが、最中に大平が急死、同情票と衆参ダブル選挙という田中角栄指導の奇策で、自民党は圧勝した。当時官邸キャップだったが、大平は側近に「若い議員は私を批判して当選してくれば、それで良い」と漏らしていると聞いた。大きい政治家というのはそういうものだ。要するに麻生の場合、大平と異なり本会議で信任されたうえでの解散であり、マニフェストで分裂選挙になったとしても、何の痛痒を感じる必要もないだろう。解散を宣言して本会議で信任されたのだから、解散断行に支障はない。自民党は堂々と分裂選挙を展開すればよい。
その場合財務相・与謝野馨は分裂選挙の核となり得るだろう。与謝野の狙いはそこにあるのかも知れない。地元の有力都議落選で、身の危険を感じて、掌を返して事実上反麻生に走ったのは、選挙運動そのものだ。学者風与謝野発言を真似すれば「いささか政治家としての矜持に欠ける」とも言えるが、祖母・晶子の「君死にたもうことなかれ」の家系だから、無理もあるまい。ここは大歩危小歩危、身の危険を首相に転嫁するなど、何でもありの序の口だ。しかし、まず当選は難しいと見る。そこで両院議員総会だが、反麻生グループは「総裁選前倒し」を趣意書にうたっていない。それ故に128人を突破したのであり、「前倒し」をうたえば、半分しか集まらなかっただろう。ということは、自民党内の大勢は「麻生おろし」ではないということになる。せいぜい60~70人程度の勢力でしかない。にもかかわらず総会を開いて総裁おろしをするというまやかしが、反麻生グループの思惑の根本にある。
地方選挙の総括を両院議員総会を開いて行った例は過去になく、執行部はまともに受け取る必要もない。総括は古賀誠辞任の総務会でも行われており、おめおめと「麻生おろし」の思惑に乗れば、そこだけがメディアに喧伝され、党全体にとってマイナスになるだろう。両院議員総会の開催は党則35条で「要求があった日から起算して7日以内に、両院議員総会を招集すべきものとする」となっている。21日に解散すれば衆院議員の首が飛び、滑稽だが「参院議員総会」しかできなくなる。解散直前に代議士会の代わりに両院議員総会を開催する手もないわけではないが、危険な賭になる。いずれにせよ自民党のマニフェスト上の分裂選挙は避けられまい。政策の違いでの分裂選挙など、過去の例に比べれば「可愛らしい」範疇に入る。総選挙後に本当に分裂すれば、それは政党の持つ運命であり仕方がないことだ。
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