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2009-07-17 00:00
(連載)政権交代でも「拡大抑止」は安泰か?(1)
鍋嶋 敬三
評論家
来るべき総選挙では北朝鮮の核・ミサイル開発に伴って、米国の「核の傘」に依存する日本の安全保障政策が大きな焦点になる。民主党への政権交代が現実のものになれば、日米地位協定の改定要求などで日米の同盟関係が不安定さを増すことは避けられない。米国の政府、議会に大きな影響力を発揮してきた知日派の有識者が、下院外交委員会の公聴会で重要なテーマとして取り上げたのが「拡大抑止」の有効性である。「拡大抑止」とは、核兵器を含む軍事力や外交力を駆使して同盟国に対する武力行使や武力による脅しを抑え込むという考え方である。
日米同盟関係の役割分担は「盾と矛」である。専守防衛、非核三原則を国是とする日本は専ら盾の役割を受け持ち、米国は敵への攻撃の責任を負う。抑止の最大の武器が核戦力だ。「核の傘」を含む拡大抑止が効いているからこそ、日本の核武装を防いでいるとの見方が米国では一般的である。そのことが中国を「安心」させ、アジアの軍事情勢に一定の安定を保証してきたという側面は否定できない。しかし冷戦以後20年間の東アジア情勢は、北朝鮮の2回にわたる核実験や長距離弾道ミサイルの開発、中国の空母建造など、軍事力の急速な拡大がつづき、激しく変化している。
ハーバード大学のジョゼフ・ナイ教授によると、拡大抑止は能力と信頼性の組み合わせに基づくものだという。日本に対する最大の保証は、約5万人の在日米軍であり、弾道ミサイルの日米共同開発計画によって信頼性が高まった、と強調した。1948年から翌年にかけての1年間、米ソ冷戦の象徴的事件だったソ連によるベルリン封鎖に対抗した空輸作戦で、駐留米軍がベルリンを守った例を挙げ、在日米軍は「途方もなく重要だ」と述べた。小沢一郎民主党代表代行は米国の極東における存在は「第7艦隊で十分だ」と言ってのけたが、米国から見れば拡大抑止戦略の認識を根本から欠いた議論としか映らないだろう。(つづく)
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