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2009-07-22 00:00
民主党支持の“金環食”は欠け始める
杉浦正章
政治評論家
日蝕にたとえるなら、焦点は民主党支持の流れが既に皆既日食に達したのかどうかだ。達したのなら徐々に欠け始めるが、達していないのなら更にブームが広がる。筆者は民主党の政策とこの整合性を見るマスコミの目の厳しさからいって、解散当日が金環食でピークに達しているようにみえる。今後欠けてゆくが、問題はそのスピード。40日後までゆっくりと欠けるが、劇的な後退はあるまい。自民党は首相・麻生太郎の涙の謝罪で落ちるところまで落ちた感がある。徐々に回復軌道をたどるかも知れない。しかしこれも劇的な回復は望めまい。いまや激流となった「チェンジ」の流れをせき止めることは難しい。「歴史的大敗」をいかに最小限に食い止めるかであろう。
解散は、これまでスポットライトしか当たっていなかった舞台に、全照明が当てられ、隅々までくまなく照らし出される。これまでムードや当てずっぽうでコメントしていた民放テレビまでが、各党の政策を“勉強”して、的確な指摘をするようになってきた。NHKも民放も共通して民主党の政策の実現性に目が向けられ、自民党内のごたごたは映像上は過去のものとなった。各党の討論などで共通してキャスターなどに取り上げられるのは、「民主党の政策」への不安感であり、その論理矛盾である。代表・鳩山由紀夫は自らの政治献金疑惑にふたをして、あきらかに「政権交代」だけを唱え続ければ勝てると踏んでいる。現に説明責任について、「何とか政治を変えてくれという声の方が圧倒的に強い」とうそぶいている。しかしライトが当たり続けることは避けられないだろう。
外交・安保政策にしても、マスコミ各社は新たに非核3原則で鳩山が見直し発言をした点を掘り下げようとしている。とりわけ社民党が鳩山発言に拒絶反応をしている点をとらえて、「民主・社民連立」の危うさに目を向け始めている。とりわけ日米で合意に達している普天間基地移転に反対の姿勢は鮮明であり、日米摩擦を懸念する指摘が多い。最大のポイントは財源。テレビ、新聞を問わず「節約で、赤字国債を発行しなくても、16・8兆円は確保できる」とする民主党の根拠を突いている。幹事長・岡田克也は、「官僚の言いなりになっているから出来ない」と指摘するが、総じてマスコミは納得していない。7月22日付の社説で読売新聞は「無駄遣いの排除などで、これらの財源を捻出(ねんしゅつ)できるのか、はなはだ疑問だ」。朝日も「ばらまき政策に財源はあるのか」と指摘している。岡田の発言には精査すると詭弁(きべん)とも受け取れる部分が目立つ。廃案になった貨物検査特別措置法案にしても、「解散しなければ、廃案にならなかった」と発言しているが、成立させるつもりがあれば、臓器移植法案と同様の対応が出来たはずだ。鳩山は「明治維新以来の官僚主導政治」からの離脱を強調するが、朝日の社説は「混乱は最小限に抑えられるのか」と疑問を投げかけている。
解散当日からまず民主党の政策の整合性に全照射が集中した感じである。これも政権選択選挙である以上、当然のことであろう。マスコミはこれまで「チェンジ」の流れをあおってきたのは良いが、本当に責任政党として大丈夫かを検証せざるを得なくなったのである。これが40日間継続し、その矛盾があぶり出されてゆくだろう。民主党はこれまで主張してきた「洋上補給の中止」をすでに取り下げようとしているが、これも社民党の反発を招いている。まさに「ぶれ」が民主党側に発生しつつあるのだ。しかし政治の潮流が変わるまでには至るまい。やはり政権交代志向の朝日の社説が最後に言い切っている。「まずは民意の力でよりましな政治へかじを切る。日本の民主主義の底力を示す好機だ」。朝日の言う「よりまし」な選択が民主党政権を意味していることは、言うまでもあるまい。
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