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2009-08-06 00:00
官営事業をすべて民営に移し、「渡り」を撲滅せよ
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
文科省は8月1日付けで、独立行政法人「日本学生支援機構」理事の矢野重則氏を「公立学校共済組合」の理事長にあてた。ちなみにこのポストは、歴代文科省OBの指定ポストだという。この矢野氏なる人物は、2004年7月に退官。国立教育政策研究所長を07年3月まで勤め、4月から日本学生支援機構に着任したのだという。現在61歳の同氏は、5年間の間に3度目の天下り、いわゆる「渡り」の典型例だ。それぞれの退職金額、それぞれの機関における給与などは明らかにされていないが、総計すれば1億や2億では済まないことだけは、確かだ。そしてそれを誰のカネで払ったかも、同じように確かだ。
下世話に人の退職金の推定をするのが本稿の目的ではなく、「天下り」問題がこれほど与野党を問わず大きなイシューとして取り上げられている最中に、「駆け込み」を狙ったも同然なこの人事に垣間見える官僚の無節操さには、憮然たらざるを得ない。それがテーマだ。税金を「民の膏」「民の脂」と認識する感覚がわづかなりとも残っていれば、少なくともこの時期だけは、「天下り」、まして「渡り」廃止に向けて、積極的に動かないまでも、せめて頭を下げて風の通り過ぎるのを待つ、というくらいの平衡感覚は持てないものか。これはほんの一例で、霞ヶ関界隈では「ばれたやつは運が悪い」程度の感覚で日常茶飯事として横行しているのではないか。
「一事が万事」というのも乱暴な議論だが、予算の執行を巡っての外郭団体の跳梁跋扈(具体的にいえば税金の盛大なムダ遣い)にはじまる「それゆけどんどん」ともいうべき愚行は、一向に収まることを知らない。昔鳥島のアホウ鳥は、隣の鳥が撲殺されても(普通の鳥なら人間が近づいただけでも一目散に逃げるのに)、平然として「わがことにあらず」と座り続け、結果絶滅の憂き目にあったとか。そうなるまでは、飛び立つことさえしない、あるいはできないというのでは、わずかに残っていた日本官僚の優秀さ、廉直さに対する国民の最後の期待も、もののみごとに崩れつつある。
予算主義、単年度主義、使い切り。予算を節約しても、「不要額」として次年度予算カットの理由にこそなれ、評価の対象に等金輪際ならない。「何で使い切らなかったのだ。このバカが」と言われる。そんな人々の手からわれわれの税金を取り返そう。絵空事ではない。官の手による直営の事業部門を全て民営に移すのだ。その利権にすり寄ってうまい汁を吸う連中もいるだろう。しかし、それには目をつぶろうではないか。賄賂の額は、それによって得る利益を上回ることはない。際限もなく、ザルから水が漏りている現状よりは、多少はマシというものだ。「渡り鳥」矢野某の新しい職場は、この間まで日本育英会として知られていた奨学金支給機関だ。自民党を始め、各党のマニフェストに奨学金の増額と書いてあるからといって、結構な話だと浮かれてもいられない理由は、もうお分かりだろう。ことはもちろん奨学金に限らない。
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