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2009-08-27 00:00
(連載)「持ち込ませず」の明確化は日米同盟を危うくする(1)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
民主党の鳩山由紀夫代表が「政権獲得後に非核三原則の一つ『持ち込ませず』を明確にするようオバマ米大統領を説得する」と明言した。鳩山氏は、非核三原則に関して「持ち込ませず」は柔軟に解釈してよいと受け取れる発言をしてみたり、逆に非核三原則の法制化を検討すると言ってみたり、全く首尾一貫していない。民主党は「持ち込ませず」の明確化を迫ることが、マニフェストで掲げている「対等な日米関係」の象徴になると考えている節がある。また、米国が1990年代初めの冷戦終結を受けて、平時の艦船への核兵器搭載を中止したことから、厳格な「持ち込ませず」を明言しても、現実問題として影響はないと考えているようである。
しかし、このような認識は、全く甘すぎるものであり、日本の安全保障を大きく損なう可能性が極めて高い。まず、「持ち込ませず」の明確化は、日米同盟にとって後ろ向きの話である。民主党が唱える「対等な日米関係」に関しては、拡大強化して「対等」になるケースと縮小均衡により「対等」になるケースがあるというのが、安全保障に関する日米両国の識者の共通認識である。民主党は「対等な日米関係と言うばかりで、上記のどちらの意味の対等かを明確にしていない」とよく批判されるが、鳩山代表の今回の発言からは、日米同盟は縮小均衡に向かうと判断せざるを得ない。
民主党は、アフガニスタンにおけるテロとの戦いのためのインド洋での補給活動を、来年1月の特措法の期限切れとともに終了させると言っており、これと非核三原則の「持ち込ませず」の明確化を迫ることがあいまって、日米同盟を縮小均衡に導くことになるのである。米国から日本への「核の傘」の提供を軽視し、一方、アフガンのように米国が窮地に陥っているところにおいて、日本の自衛隊の関与を低下させるというのでは、日米同盟は存在意義が急速に低下する。
民主党は、オバマ大統領との信頼関係を築いた上で日本の言い分を主張するというが、そもそも民主党の唱える政策では、オバマ大統領との信頼関係を築くことが困難であろう。先に「持ち込ませず」の明確化を迫ると宣言しておいて、その後から「胸襟を開いて話し合う」などということは、これは日本が一方的に「言うことを聞いてくれ」と主張しているだけであり、著しく自己中心的な態度である。次に、米国の核兵器運用計画については、米国は「明らかにすることは抑止力を損なう」というのが基本的な立場である。平時の艦船への核兵器搭載を中止したことが明らかになっているのが、むしろレア・ケースであると言える。それを「明らかにしろ」というのは、米国にとっては非常識極まりない話である。(つづく)
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