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2009-08-28 00:00
変化すればよい、というものではないはず!
玉木洋
大学教授
“Change”、「変化」、「改革」・・・といった言葉は、現在の日本国民の政治意識の大きな潮流となっている。確かに、政治と金、天下り、談合、社会保険庁のずさんな仕事、不況、派遣切り、失業、年金制度や医療制度、福祉、介護など、怒りを覚える問題や、将来が不安になる問題は多い。もちろん、外交・防衛でも難問山積である。そして報道を見れば、それは現在の政権の体質や官僚主導といった構造に原因があるかのように見える部分も少なくない。しかし、今の状態の悪い部分が、政権のどのような政策によって悪くなっているのか、それとも良い政策だからこそこの程度の悪さにとどまっているのか、次の政権は何をすることによってより良くするのか、より悪くなることはないのか、といったことは慎重に検討しなければならない。
犬が人間を噛んでも、ニュースにはならない。政府の経済対策が効果を上げても、その政策はなかなかニュースにはならない。東アジアで日本にミサイルを向けている近隣の国々との軍事バランスは、日米同盟によってかろうじて維持されているのだが、そのような政府の政策を評価するよりは、新しい変化を「核持込み禁止の明確化」で示すことの方がニュースになる。そのほうが、より平和的で、良いことのようにも聞こえる。そういったことの積重ねで、「変化」への期待がずいぶん大きく取り上げられている。そういったこともあって、今の国民の意識は明るい展望をもてないでいる。その中で「変化があれば、よくなる」という期待を持ちたくなる、という気持ちはわかる。しかし、変化の後の方が良いのかどうか、それは冷静に検討してみなければならない。
「改革派」に対する「守旧派」のレッテル貼りで、冷静な議論が乏しいまま小選挙区導入が突き進められた。「改革派」に対する「抵抗勢力」のレッテル貼りで冷静な議論が乏しいまま小泉・竹中改革が突き進められた。これらは、大きな変化(変革)であった。その功罪については、議論が分かれるところであろうが、少なくともその当時改革派が確保した議席の比率よりは、現時点でかれらを支持する人の割合は少ないであろう。もっとも、郵政選挙でさえ、自民党公認候補者全員が郵政改革推進者であったとしても、得票率で行けば50%程度でしか得てはいない。変えること自体が良いのではない。
悪い点を見定めて、それよりよくなるように変える、あるいは良いことを維持し、守るための取り組みを変える、といったことが必要なのではあるまいか。「まず政権交代ありき」というのが正しいのか。「実施されるであろう政策はどんなものか、をよく考えて、比較する」ということが大事だと思う。どちらの政党の候補を選択するにせよ、冷静かつ賢明な一人ひとりの判断がなされることを祈るものである。
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