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2009-08-28 00:00
(連載)「持ち込ませず」の明確化は日米同盟を危うくする(2)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
そのような立場を米国がとっているからこそ、2009年5月の北朝鮮の核実験を受けて開催されることが決まった、日米間での核兵器運用に関する事務レベルの定期協議も非公開なのである。この定期協議は、短中期的には北朝鮮の核開発を、中長期的には中国の核軍拡を念頭に置いたものである。対中国を考えれば、平時の艦船への核兵器搭載の再開が検討されても全くおかしくない。したがって、現在の状態だけを見て、「現実的には影響がないだろう」などと言っている民主党の認識は、全くナンセンスである。
さらに、核兵器の運用は、米国の戦略の中枢に属することであるから、形式的ではない本格的な日米協議をしようとすれば、事務レベルなどで済む話ではなく、政権中枢レベルでの情報共有と戦略すり合わせが必要になってくる。その日本側のカウンターパートになろうとしている鳩山氏が、「対等な日米関係の象徴になる」などという情緒的かつ非合理的な理由で、「持ち込ませず」の明確化を米国側に迫るとすれば、米国の「核の傘」は十分に機能せず、「破れ傘」と化し、それにとどまらず、日米同盟そのものの破綻に繋がりかねない。これは、決して日本国の安全に責任を持つ者の取るべき立場ではない。
鳩山氏は、すでに非核三原則に関しては散々ブレてきた。米国側の信頼を回復するのはかなり困難なことである。政権公約やそれに類する発言の遵守は、重要には違いないが、国の安全を確保することの方が重要であることは言うまでもない。
いささか極論に過ぎると思われるかもしれないが、民主党が政権を取ったならば、これまで民主党が日米同盟に関して主張してきた、(1)インド洋での給油活動終了、(2)非核三原則の法制化、(3)「持ち込ませず」の明確化、(4)地位協定の見直し、(5)米軍基地再編の見直しなどといった、「反米的」と取られかねない政策はすべて反故にして、現実的な政策をとるべきである。そこまで徹底的にやらなければ、日米同盟の信頼はずたずたになり、日本国民を多大な危険にさらすことになる。正しい方向に「変節」した結果、「公約違反」との批判を受けて、次の選挙で負けるか、「よくぞ現実路線に転換した」と評価を高めて、引き続き政権を担当できるか、それは国民が決めることである。(おわり)
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