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2009-09-07 00:00
高峰康修さんの「目標設定」慎重論に賛成!
玉木洋
大学教授
高峰康修さんの9月6~7日付けの本欄への投稿「温室効果ガス削減目標の設定は慎重に対応せよ」は、重要な点を突いておられるものと思います。対外約束は極めて慎重にすべきだと思います。もちろん、8月28日の私の投稿でも述べたとおり、世界全体での大幅な温室効果ガス排出削減は必要でしょうが、日本のみが先に過度に高い目標を掲げて、それが日本の対外的約束となってしまうことは、日本(すなわち日本国民)にとって危険があろうと思います。国際社会の中で温暖化の目標を語ることは、日本国内の人と人のお付き合いの話ではなく、厳しい国際政治の中での話です。そこでは「あなたががんばるんなら、私もがんばります」などと簡単にいくものではなく「お前が最大限にやらないなら、俺はやらないよ」といった国が、そのあとで「お前はやるといった以上やれよ。俺はやっぱりできないけど」ということさえ、考えなければならない世界だと思います。
9月7日の報道によれば、民主党の鳩山代表は「1990年比25%削減」を、「マニフェストに記載したとおり」として、約束した旨が報道されました。このことは、首相就任直後の国連総会で同様の内容を対外約束として発言するのではないか、との高峰さん指摘の懸念をますます高めるものです。ですが、一つ望みがあるのは「すべての主要排出国の参加が前提」ということも、鳩山代表は発言したとの報道があったことです。
もちろん、日本の削減目標自体に十分慎重な検討は必要ですが、世界全体で大幅な温室効果ガス削減が必要であることもあわせ考えて、また民主党が既にこの数字を言ってきていることを考えると、この数字自体の見直しとともに、民主党として考えなければならないことは、「すべての主要排出国の参加が前提」という条件を必ず確保することです。公正で、十分に厳しい数字であり、かつ強制力を持つ「主要排出国の参加」をどうして確保するかということこそが、極めて重要であると思われます。
いろいろな比較指標がありえると思いますが、主要排出国が排出削減の具体的な数値目標設定に参加し、その拘束力や数値に実質的な公平が保たれたものであるのであれば、我が国のみが達成に異常な苦労を強いられるものでなく、かつ温暖化の甚大な被害を避けることが可能になるのかもしれません。国際社会における日本の外交の状況を踏まえれば、それが可能であるかどうかは、全く楽観できないものです。しかし、1990年比25%削減発言をするのであれば、その前提条件を明確にすることは、最後の砦となると思います。各国の目標数値は、それぞれの事情からそれぞれの国益を考えた上でのものです。米国も、米国としては厳しい数値目標を示しているようですが、これも「主要排出国の参加が前提」です。これらのことを忘れず、単に「日本が積極姿勢を示せば、世界が動く」というような楽観論ではなく、日本の過大な対外約束だけが先走ることのないように、民主党、鳩山代表、次期政権には良く検討して頂きたいものだと思います。
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