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2009-09-10 00:00
まず景気回復と雇用確保の政策継続を
角田 勝彦
団体役員
鳩山民主党代表は、首相に選出された後の訪米で、国連総会及び世界20か国・地域(G20)金融サミットに出席し、米中露など列国首脳と会談する旨報じられている。中心となるテーマの一つは、難航している世界景気回復のための国際協調である。ロンドンで開かれたG20財務省・中央銀行総裁会議も、金融緩和や財政出動での協調継続の必要性で合意した。鳩山代表は、すでに米国オバマ大統領との9月3日の電話会談で「経済でも緊密に協力し、(景気を)改善したい」と語った由である。しかし、他方、公約を含む民主党の方針に対しては、景気回復と経済成長に悪影響を与えるとの多くの懸念が表明されている。
7日、鳩山代表が、日本の2020年までの温室効果ガスの削減目標(中期目標)について、条件付きながら「1990年比25%削減を目指す」と公約を確認したことは、その最たるものである。2009年度補正予算の原則執行停止も問題である。民主党の経済分野でのブレーンとされる榊原英資早大教授すら、9日、「鳩山不況」がくるかも知れず、「第2次景気対策を打つべきだ」、「減額補正したら経済がむちゃくちゃになる」と述べた由である。筆者は、これまで政局より政策をと主張し続けてきた。それ故、麻生政権の選挙引き伸ばしと緊急経済対策実施はそれなりに評価している。景気対策の継続は、不可欠である。
実は、筆者は、長期的には日本を含む世界経済の先行きに悲観していない。筆者は、現在を、かって中世がルネサンスを経て近・現代へ変化したような大変革期(ニュー・ルネサンス)と見ており、かつて農村主体の中世の停滞の後、ルネサンスが都市中心の繁栄をもたらし、資本主義の近・現代へつなげたように、ニュー・ルネサンスで、資本に代わり「知」が生産の原動力になる「知本主義」が生育し、超現代(メタ・モダン)の発展と繁栄をもたらす可能性が小さくないと見ている。その際、財政均衡原理主義は、中世荘園の自給自足経済と同じ運命を辿る可能性もある。
この意味で、筆者は、9月4日、政府が2009年度補正予算に盛り込んだ2700億円の先端研究助成基金の助成対象者30人を発表したことを、とくに評価している。個々の助成額は最長5年間で30~150億円と前例のない規模になり、iPS細胞の再生医療への応用を始め、日本の産業競争力や生活向上に役立つ各種の研究が進展するだろう。 助成対象者選定について、民主党の岡田幹事長は、駆け込みと批判し、見直しも示唆したが、本制度は民主党も賛成したもので、多少の不満はあっても早急実施を優先すべきだろう。
なお筆者は、9月1、2日の本欄へ「新政権は、保健医療産業を経済成長に生かせ」との寄稿を行ったように、民主党のマニフェスト最終案で加えられた消費拡大をテコとする「経済成長戦略」を否定するものではない。しかし、将来は将来として、問題は現在とるべき景気対策である。もちろん、資本主義・市場経済の下で経済成長(景気回復)と雇用確保の主役は民間であり、政府(中央銀行を含む)の役割は自ずから限られているが、とくに金融危機以降、その役割は拡大している。そして世界大恐慌の経験からも政府間国際協調の重要性は増大している。圧勝した民主党は、日本国民と世界経済に対し、ようやく回復しかけた景気を支える義務がある。ましてや「経済がむちゃくちゃになる」ことなどは避けねばならない。
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