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2009-09-19 00:00
「自立」と「自律」が世界の問題を解決する
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
2年ほど前の当フォーラムの「設立20周年」記念講演で、当時の麻生外相がユーラシア大陸に「自由と繁栄の弧を築く」と述べたのは、印象的でした。その実現策に関して自分なりに思いをめぐらせて来ました。この度、日本には民主党政権が誕生し、鳩山首相の「友愛」外交に関して皆様が色々意見を書かれておられます。「友愛」とは、フリーメイソン的な言葉であり、欧米的な宗教用語のような気がします。イメージ戦略的には上手い表現とは思いますが、具体的イメージにはやや乏しい感じです。私は最近の国内政治状況を見ていてふと感じたことですが、今の日本にも、そして対外援助外交においても、民主主義、自由主義、資本主義、そして平和で安全な社会を求める為には、人々に2つの「じりつ」が必要だ思います。
その一つは、人々の生活上の「自立」であり、二つ目は、人々が誇りを持った「自律」です。たまたまバングラディッシュのユヌス氏のグラミン銀行のことなど考えていたら、本日、身体障害者自立支援法の評判が悪いということで、廃止する旨が、ある大臣から発表されました。残念ながら私は法の詳細は知らないのでなんともいえませんが、ハンディキャップを持った人や、多くの人々が、戦闘や内乱に苦しみ、飢えに苦しむ国々があり、貧困ゆえにテロリストに加担せざるを得ない人々がいます。それらの国々や人々に対して、国家がお金を渡すだけで問題が解決できるとは思えません。人々の「自立」を支援する事が、最も有効な支援策であると思います。「自立支援」と言う言葉が何故悪いのか分かりません。
例えば、北朝鮮に経済援助でいくらお金を渡しても、多くが政府高官や役人の汚職や蓄財に使われてしまうでしょう。せいぜいミサイルでも買ったり、核兵器でも準備をした方が手っ取り早い、となってしまうでしょう。現に混乱するイラクでは、汚職と賄賂が蔓延していると報道されています。経済援助の基本は、相手国民衆への「自立支援」であると思います。人々が自立して生活できるように、制度や策を講じることが政策ではないのか。相手国政府へのノウハウの提供も大事です。それは日本の内政とても同じです。持てる国から持たざる国へ、富を再配分しても、本来の解決にはなりません。イラクも、アフリカの貧しい国も、北朝鮮も、チベットも、中央アジアも、全ての国々の民衆が、それぞれ自立して生活が出来るようになれば、平和を望み、民族の共存を望み、人類の発展につながるのではないでしょうか。
「金持ちから奪って、貧乏人に配れ」と言うねずみ小僧的な美学による国や政府の政策では、限界が見えてきます。日本も国家財政が赤字の中で、今後経済援助を金額的にドンドン増やしてゆく事はできません。何しろお金を配ればドンドン足りなくなるのが世の常です。何かを共にやって、山分けしてゆく方がいいはずです。そんな精神で、これからの世界の平和構築や発展途上国援助は、相手国民の自立支援を最重点として考えていったらどうでしょう。但し、民衆が自立して賢くなっては困るような政府もあるから厄介です。かつてどこかの国でも「寄らしむべし、知らしむベからず」とか、「国体の維持の為」と称して、負けの分かった戦争をずるずる続けた国もあったのですから。
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