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2009-09-30 00:00
(連載)鳩山外交と「核の傘」(3)
角田 勝彦
団体役員
より現実的なのは、「核の傘」といわゆる「核持ち込み密約」に関連する問題である。 核武装しない日本は、日米安全保障条約に基づき、米国が保有する核兵器によって日本に対する第三国からの核攻撃を抑止する。それが「核の傘」だ。なお米国は、同様の仕組みを持つ北大西洋条約機構(NATO)諸国とは、有事の際の核兵器の運用や手順などの具体的な情報を共有している。また米韓両国は6月、米国による「核の傘」の韓国への提供を明記する首脳合意文書を交わした。しかし、日米間では情報の共有も進んでいない。
この関連で、より現実的な懸念が生まれている。すなわち日米両政府は、米軍が日本に核を持ち込む場合、日米安全保障条約に基づいて両政府が事前協議を行うとしているが、「核搭載艦船の日本領海の通過と一時寄港」は除外との密約がある、という疑惑が大きな問題になってきた。具体的には岡田外相の命令により、9月25日、外務省に密約調査チームが発足し、11月末までに結論を出す予定になった。米政府は、この了解を秘密にしたのは日本の国内事情によるもので、了解の存在を否定することは出来ないとの立場と見られる。なお、米政府は1991年に米海軍の艦艇と航空機から戦術核兵器を撤去すると発表し、1992年7月、ブッシュ(父)大統領は、世界中の米戦術核撤去完了宣言を行った。94年には水上艦船と空母艦載機から核兵器搭載能力を外すことを決めたので、現在は理論上の問題になっている。
いずれにせよ調査の結果、密約の存在が確認され、さらに鳩山政権の方針変更で「核搭載艦船の日本領海の通過と一時寄港」を認めないことになると、「核の傘」はほころびかねない。 ただし政府の方針変更は決まったわけではない。9月27日のNHK日曜討論で、岡田外相は本件について、まだ結論を出していない様子で、密約の存在確認が第一で、出てきたらどうするかは「走りながら考える」と述べていた。同外相は、沖縄の米海兵隊普天間飛行場移設やインド洋での給油活動継続問題、さらにアフガニスタン支援の問題は一つの大きなパッケージの中で議論し、11月中旬に控えたオバマ大統領の初来日まで結論を出す方針を示したが、密約問題はその中に入っていない。
日米同盟の核心は、日本が米国の「核の傘」に守られることにほかならないと言われる。しかし、日米同盟は一つの兵器によって左右されるものではあるまい。安保条約により、日本には基地提供の義務があり、米国には日本防衛の義務がある。核は放射能を含むその威力の巨大さから事実上使えない兵器になっており、「核」を使わなくても「傘」は存続し得ないか、日米協議により、あるべき同盟のかたちを探る時期が来たのかも知れない。(おわり)
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