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2009-10-07 00:00
(連載)FーX選定問題に見る防衛政策の問題点(1)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
迷走を続けていた航空自衛隊の次期主力戦闘機(F-X)選定問題では、日本側が強く希望していた最新鋭ステルス機F22の導入は選択肢から脱落し、開発中のマルチロール(多機能)機F35を導入する方向が固まったようである。今回のF-X選定問題が我が国の防衛政策に与える教訓について、以下に私見をいくつか述べておきたい。
まず、F22の導入が不可能になったのは、米国でのF22調達中止決定と、米国外への高度な軍事技術の海外流出を防ぐオーベイ条項により、F22の輸出禁止が解けないことが原因である。米国が高度な軍事技術を日本に渡すことに慎重なのは、我が国の機密保護体制の不備を考えれば首肯できる。この点で米側を説得できなかった責任の一端は我が国にある。このように、機密保護体制の確立は我が国の喫緊の課題である。ところで、F22の代りとして米国側が強く勧めてきているF35は、対地攻撃能力を重視しており、空対空に特化したF22とは性格がいささか異なる。したがって、本来は「F22が無理ならばF35に」という単純な話にはならないはずである。裏を返せば、F-X選定問題の迷走は、我が国の防衛戦略の希薄さの証左に他ならない。
武器の導入は、安全保障環境を正しく認識して、それに適切に対応するという形でなされなければならない。我が国にとっては、急速に近代化が進む中国空軍の能力に打ち勝って、東シナ海・南西諸島方面での航空優位を維持することが絶対条件である。空対空の戦闘能力で他の追随を許さないとされたF22は、その目的にかなっていた。米国内にも対中国を念頭に「日本へのF22輸出を解禁をすべし」という声があった。しかし、F22の代わりとして、テロとの戦いなどでの対地攻撃能力も重視したというF35を導入するというのでは、防衛省は戦略的観点からF22にこだわっていたのか疑わしいと言わざるを得ない。
ところで、米国政府は、F35を日本に勧める一方で、F35の性能に関する情報提供料として約10億円を要求してきた。これは法外な値段であると言ってよい。しかも、提供されるのは攻撃能力や機動力で、F35のセールスポイントとされているステルス性能(F22に準じるとされる)に関しては、購入が決まった段階で提供する意向だという。情報提供料が高額となる背景は、一つにはF35が共同開発機だからであり、共同開発国である英国や豪州などにも10億円の中から配分される見込みである。こういうことならば、日本もF35の共同開発に名を連ねておくべきだったのだが、三木武夫内閣により捻じ曲げられた武器輸出三原則の解釈のせいで、米国以外の国が含まれる共同開発には日本は参加できないことになっているのである。(つづく)
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