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2009-10-21 00:00
進退極まった鳩山政権の予算編成
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
概算要求が空前の95兆円規模だという。自民党にしてみれば、「それ見たことか。バラ撒きのマニフェストなどの財源はどこにあるんだと申し上げたではないか。それに対して、水ぶくれの従来予算のムダを省くことによって、施策の実施は十分に可能だ、とおっしゃっていたではありませんか」と、かさにかかりたいところだろう。
かてて加えて、税収減だという。麻生内閣時代よりも多額の赤字国債を出すことだけは避けたい鳩山さんだろうが、そろそろ一回目の正念場がやってきそうだ。もっとも考えようによっては、予想外の税収減にマニフェストを含む新規施策はしばらく延期、というのはあり得る話なのだが、マニフェストを錦の御旗に相当な荒療治をしよう、という極め手を喪うことに繋がりかねず、まさに前門、後門共に虎狼を従えた観なきにしもあらず。
この難局の打開に、本ブログでもお勧めの「事業仕分け」でムダをあぶり出す、という手法に多くを期待する向きもあるが、これは予算成立までの限られた時間ではとても無理な上に、制度設計そのものが(地方自治体のような)個別案件審査には向いても、国家政策レベルのプロジェクトには向いていないことから、とても現実的ではない。この手法が役立つとすれば、予算そのものではなく、その執行過程において一体どんなことが行われているかを、衆目の下に明らかにするところにあるというべきだろう。
鳩山首相は、本体予算だけでなくて、170兆円の特別会計に活路を見出すというヒントを提示したと伝えられるが、見かけの巨額にもかかわらず、うち130兆円は国債の返還や年金に充てられている。一挙にばっさりという八ッ場ダム方式はとてもとれない。が、予算執行過程にどれほど盲腸のような外郭団体がぶら下がっているかを洗い出すだけで10%位の節減は十分可能なように思う。ことは特別会計だけではない。農水・国交などの現業官庁はいうに及ばず、ODAなどについても雑巾を絞れば、バケツに何杯かの汚水は出てこない筈がない。それら寄生虫組織を根絶して、同時に業務も廃止するなり、どうしても残さねばならぬ仕事は民間に受託させただけで、鳩山さんの頭痛のかなりの部分は解消するのではないだろうか。敏腕の仙谷大臣や菅大臣が見落とされる筈もないのだが。
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