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2009-10-23 00:00
(連載)普天間移設問題で米「最後通牒」(2)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
しかし、日本側の対応は米側を苛立たせるのに十分な、不適切なものに終始した。鳩山首相は、衆院選で現行計画の見直しを訴えたことと日米合意の間にギャップがあるので、「答えを出すのに、もう少し時間が欲しい」という趣旨のことを述べた。鳩山首相は、これまでも「時間をかけながら良い結論を出したい」「大事なのは沖縄県民の総意だ」などと発言しており、来年1月に予定されている名護市長選の結果を見てから決めたいということのようである。しかし、これでは全く話にならない。
2010年に代替施設建設に着工できなければ、2014年に海兵隊のグアム移転を完了するというロードマップ通りに進めることは全く不可能である。そして、重要なことは、日米合意は両政府間の正式合意であるということである。ヒラリー・クリントン国務長官は、今年2月に訪日した際に2014年までのグアム移転実施協定に署名している。こういう政府間合意は、外交の継続性の見地から、政権が交代しても選挙パフォーマンスを現実的な方向にシフトするのが常識である。鳩山政権の腰の定まらない姿勢は、県外・国外移設をうたったマニフェストに固執するよりも、さらに悪い。県外・国外移設は全く非現実的だが、日本側の姿勢がとりあえずそこに定まっていれば、米国としても、まだ交渉のしようがあるとも言える。
しかし、「先送り」では暖簾に腕押しであり、米国には日本が「一体何をしたいのか」全く伝わらない。これでは、まともに交渉する相手にならないということである。それは、当然、「同盟国として信用ならない」ということになる。岡田外相は会談で、「来年は日米安保条約改定50周年だから、さらに日米関係を深めたい」と述べたが、実にその言葉がむなしく響く。日米関係において、経済問題ならばまだしも、安全保障問題で「最後通牒」を突き付けられるなど、とんでもない大失策である。日米同盟を真に重要だと認識しているのならば、そのような日米関係を悪化させるような対応は絶対にするべきではない。
日本国内では、問題を先送りして、マニフェストにそれなりに配慮したことを支持者に示す、という論理が通用するのかもしれないが、外交問題ではそのような論理はナンセンス極まりない。鳩山政権は、日米同盟が弱体化する惧れがあることを全く認識していないように思われる。万が一11月にオバマ大統領訪日でも同じようなことが繰り返されるようなことがあれば、日米同盟は危険水域に近づくことになる。アフガンでの対テロ戦争では、インド洋の海自を引き上げる代わりに、アフガンの軍・警察強化に資金援助を強化することと民生支援強化でもよいと言ってきているので、普天間移設問題の早期決着が現在の絶対的要請である。直ちに、「現行合意を誠実に履行する」と宣言すべきである。(おわり)
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