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2009-10-26 00:00
広島・長崎で、次のサミットを開催せよ
角田 勝彦
団体役員
10月11日、広島市と長崎市は、2020年夏季五輪の招致に名乗りを上げた。昨年4月、世界の約3000の都市が加盟する平和市長会議で、2020年までの核兵器廃絶を目標に掲げる「ヒロシマ・ナガサキ議定書」をまとめた広島の秋葉市長(同会議会長)と長崎の田上市長(副会長)は、今年8月に長崎市で開かれた同会議の総会で、2020年五輪を広島、長崎両市へ招致する構想を打ち出していたが、10月3日に2016年の夏季五輪がリオデジャネイロに決まったあと、「オリンピック招致検討委員会」を共同で設置することを明らかにしたのである。
「核なき世界」を掲げるオバマ米大統領が10月9日ノーベル平和賞に決まったことが示すように、核廃絶への関心が世界で高まる中で、両市長が2020年五輪を被爆地における核兵器廃絶の記念大会にしたいと希望することは理解できる。11月訪日するオバマも、4月のプラハ演説で「広島、長崎に原爆を投下した米国には、核兵器を使用した唯一の国として、行動する道義的責任がある」旨述べたが、米国内には原爆投下を正当化する意見も強く、被爆地訪問にはなかなか踏み切れないようで、我が国として、その実現を含め「核なき世界」実現へ向けあらゆる努力を行うことが望まれる。20日75歳の誕生日を迎えられた皇后様も、ご感想文「この1年を顧みて」のなかで、「核兵器の恐ろしさは、その破壊力の大きさと共に後々までも被爆者を苦しめる放射能の影響の大きさ、悲惨さにあり、被爆国である日本は、このことに対し、国際社会により広く、より深く理解を求めていくことが必要ではないかと考えています」と発表されている。
ところが、広島・長崎五輪実現には、かなりの課題がある。2020年夏季五輪開催都市が決まるのは2013年の国際オリンピック委員会(IOC)総会に於いてであるが、JOCは通例ではIOC総会の3年前に国内候補都市を絞り込んでおり、地元及び国内の広範な支持獲得が早急に必要である。財政面では招致活動や施設整備に要する数千億円規模の費用に加え、宿泊施設や交通網など都市基盤の整備が求められる。広島市は、2002年のサッカーW杯日韓大会では財政難を理由に開催地を返上した経緯もある。共催には「1都市開催」が原則の五輪憲章の問題もある。秋葉市長は「複数都市で開く五輪の新しい展望」を提案したいとして、21日に福岡市と北九州市に五輪招致委参加を打診したが、憲章改正は間に合いそうもない。
反面、サミット(主要国首脳会議)については、このような問題はない。日本開催の場合、場所の選択は、ほぼ政府の決定次第である。しかも、主要国首脳が被爆地を訪れる平和推進面の効果は、五輪誘致に劣るまい。いまから意図表明しておけば、広島・長崎五輪実現の助けにもなるであろう。サミット拡大論はあるが、次に日本で行われるサミットは北海道洞爺湖サミットの8年後の2016年の予定になる。両市長は2016年サミット誘致をまず検討されてはいかがだろうか。
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