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2009-11-06 00:00
鳩山政権のいう「対等な日米関係」は空論
船田 元
前衆議院議員
去る10月20日に、鳩山新政権が発足して初めて、アメリカの閣僚級要人の訪日がありました。ブッシュ政権以来の異例の続投をしたゲーツ国防長官です。訪問の目的はいうまでもなく、遅々として進まない普天間基地移設問題を動かすことと、今月に控えたオバマ大統領来日の地ならしです。普天間基地のキャンプ・シュワブ(名護市辺野古地区)への移設については、これまでも自民党政権の中で二転三転して、ようやくV字型滑走路という「ウルトラC」によって、ほぼ合意に達しておりました。ところが「県外移転、国外移転」の検討をマニフェストに掲げた民主党が政権に就き、さらに強硬な社民党が政権に入ってきましたので、にわかに先行きが不透明になってしまいました。
ゲーツ長官としては、前政権と合意したことは政権が替わっても継続されるものと信じていましたから、鳩山政権の閣僚の煮え切らない態度に、大変失望したことは想像に難くありません。私たちも、これこそ外交の継続性の根幹に関わる問題ですし、日米同盟関係の継続にとって、避けて通れない案件と考えますので、鳩山政権の態度に怒りすら覚えます。
ゲーツ長官側も、決して一方的な要求を突きつけたわけではありません。「インド洋の給油活動からの撤退は大変残念だけれども、それに替わってアフガニスタンにおいて力強い活動を展開してくれることを期待する」と述べ、キャンプ・シュワブについても「日本側が計画から50メートル沖合いに移動したいのであれば、アメリカ側は妥協の余地がある」と柔軟姿勢を示しました。しかしこのような譲歩を示しても、日本側が合意の履行を怠ったり、決定を先送りしたりすれば、日米同盟関係はダッチロールに陥りかねません。
鳩山新政権は「日米が対等の関係にならなければならない」としていますが、それこそ机上の空論であって、日本の安全を守ることは、アメリカの手助けがなければ不可能です。よしあしは別として、アメリカの核の傘に入っているからこそ、日本は戦後60数年紛争に巻き込まれずにやってこられたのです。「対等の関係」を目指すのであれば、集団的自衛権の行使も憲法上可能にし、多国籍軍の活動にも参加し、誤解を恐れずにいえば、核を保有することすら考えなければならなくなります。「対等」とはそれほど思い意味を持っているわけでして、鳩山政権は極めて認識が甘いとしかいえません。私は決してアメリカの言い成りになれというのではありません。しかしながら国際情勢を冷静に見つめ、日米同盟の安全保障上の重要性を再度認識し、せめて普天間基地移設の約束はきちんと果たさなければ、日本の将来は極めて深刻になるということを言いたいのです。鳩山政権に猛省を促します。
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