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2009-11-10 00:00
(連載)鳩山政権成立に歴史的意義ありや?(3)
吉田 重信
元駐ネパール大使、元駐上海総領事
要するに、今回の政権交代は、国民の選択と期待の結果である。だから、国民は、蜜月期間だけとは言わず、今後少なくとも4年間くらいはじっと鳩山首相のやることを期待して、見守ろうではないか。大言壮語した鳩山首相が50年後に笑われるのか、期待を寄せた国民が馬鹿をみるのかは、今後のおおまかな査定ラインである。あせって短期的な成果にこだわる必要がない。
政権交代がもたらしたもうひとつの結果は、超保守ないし国家主義的な勢力の退潮である。彼らは、小泉と安倍政権時代に、靖国問題、村山談話問題、憲法、国防など一連の問題にからみ活動を活発化した。今や政権交代により、保守派言論人でさえ、期待した憲法改正への政治的気運は、少なくとも20年くらいは後退したと嘆かせるほどである。これら言論人たちは、今や民主党政権について、「社会主義政権」であるとか、「ハイル、ヒットラーの国会並みである」とか、まるで見当違いなことを言って、必死になってけちをつけている。しかし今後民主党政権が成果を挙げるに伴い、これら保守派勢力は、一層孤立化し退潮していくだろう。
当面の山場は、民主党が提唱する「国立戦没者慰霊施設」が実現するか否かであり、もし実現すれば、超保守派勢力にとっては、屈辱的な敗北の象徴となるに違いない。さりとて、自民党が、党内外の保守派勢力に引きずられて、保守性を鮮明にすれば、国民の間で一層孤立化する可能性があり、ここに自民党のジレンマがある。今のところ、民主党の掲げた「公約」や実際の政策手法については、日々詳細に報道、検証されており、国民はそれだけにこれまで以上に問題や政策論争につき理解を深めており、一層政治的参加の意欲を示している。したがって、わが国民主政治の状況は、一部の識者が危惧するように、いわゆる大衆民主主義の病(へい)に陥る可能性は少ないのではないか。
むしろ、筆者によれば、民主党政権が抱える、今のところ隠された最大の政策目標は、4年後の総選挙で、大型消費税の導入の是非について国民に問うことである。その際、問われた国民がいかなる選択をするかによって、将来わが国が北欧型の福祉国家に向かう方向が明確になるだろう。鳩山首相のいう「民主党政権への歴史的評価」というのは、このあたりの業績を本人が胸に描いているのかも知れない。(おわり)
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