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2009-11-18 00:00
(連載)全米で巻き返す保守派の「茶会」運動(2)
中岡 望
ジャーナリスト、国際基督教大非常勤講師
こうした保守派の再結集の動きを、リベラル派を代表する経済学者ポール・クルーグマン・プリンストン大学教授はニューヨーク・タイム紙のコラム(8月7日付け)で「現在、オバマ支持者はまったく確信を失っている。おそらくそれはオバマ政権の凡庸な現実が、改革を夢見る人々の期待を満たしていないからだ。これに対して、怒れる右派は情熱の高まりに満たされている」と分析している。
また、1997年の議会選挙で共和党に大勝利をもたらしたニュート・ギングリッチ元下院議長は「茶会」運動を「ワシントンの政治家の無責任な政策に対する我々の怒りと反対を表明する機会である」と語っている。中には「茶会」運動を1970年代に全国的な広がりを見せた「納税者の反乱」と比較する専門家もいる。減税を求める納税者の反乱は、保守主義運動の原動力となり、1980年のレーガン政権の誕生に結びついた。
この新しく生まれた保守のグラスルーツ運動は、アメリカの政治の現実を変える可能性を秘めているとの見方もある。ウエブサイトやオンライン、ユーチューブなどを使った運動は、オバマ候補が使った戦略であり、草の根の大衆動員はリベラル派の常套手段を真似たものである。運動の主張は、大規模な財政政策による景気刺激に反対、増税反対、自動車産業や金融機関救済に反対、医療保険改革に反対、連邦準備制度理事透明化法案に賛成など、従来の保守派の主張を敷衍している。
その中で注目されるのは、共和党指導部に対して反旗を掲げていることだ。ブッシュ政権の政策を批判し、シカゴで開かれた「茶会」集会は発言を求めたマイケル・スチール共和党全国委員会の要請を拒絶している。2010年の中間選挙に向けても独自の動きを見せている。共和党は中道派の候補者を擁立することで議席増を狙っているが、地方の「茶会」組織は保守系の独自の候補の擁立に向けて動いている。たとえば共和党本部はニューヨーク州23区の下院議補欠選挙で中絶容認派の女性候補の擁立を計画しているのに対して、アップ・ニューヨーク・ティーパーティは保守色の強い候補を独自に擁立する動きを見せている。こうした「茶会」組織の動きは一面で共和党の支持基盤を活発化させているが、同時に党本部が狙っている浮動票の取り込み戦略を阻害する可能性もある。結果的に、共和党が割れ、民主党候補が漁夫の利を得た。(つづく)
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