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2009-11-30 00:00
(連載)無理な経費削減より財政出動の拡大を(1)
角田 勝彦
団体役員
ドバイ・ショックのあと、景気回復のため財政出動の拡大(国債増発)はやむを得ない。反面、心理的悪効果のみ目立つ「事業仕分け」による予算圧縮は、無理な実施を避けてほしい。円高が示すように国際的評価も高い日本経済を、決断を遅らせることにより、これ以上傷つけるべきでない。日本経済についての私の基本的楽観論は9月10日付寄稿「まず景気回復と雇用確保の政策継続を」をご覧いただきたい。以下、補足する。
ア首連ドバイ首長国の11月25日からの信用不安(ドバイ・ショック)から世界的株安が生じている。「デフレ状態にある」と政府が11月20日公式に認めた日本国内では、円高の加速(輸出に悪影響)もあり、景気2番底(鳩山不況)が危惧されている。このままでは2010年度GDP成長予測1%強と3年ぶりのプラス成長が見込まれたのも危なくなりそうである。鳩山首相は、11月29日関係閣僚との協議で、2009年度第2次補正予算案に円高株安対策を盛り込む方針を固め、日銀へも協力要請を行う由である。他面、11月30日付けの日本経済新聞掲載の至近の世論調査では、政府の「景気対策への取り組み」を「評価しない」が57%で「評価する」のほぼ2倍となり、内閣支持率も10月の前回調査より5%減の68%となっている。
要するに、ぐずぐずと財政出動への決断を先延ばししていることが問題なのである。2009年度税収は、当初見込みの46兆円から37兆円程度に落ち込むとされ、2010年度も回復はあまり見込めない。仙谷由人行政刷新相は11月29日、10年度予算編成で、埋蔵金などの「税外収入」について10兆円を目標に積み上げをはかる考えを示したが、無理だろう。民主党が、マニフェストに掲げた「子ども手当」などを盛り込んだ2010年度予算(概算要求段階で過去最大の95兆円)を、3兆円圧縮する目標を立てて実施した政府の「事業仕分け」(国の行う約3000事業のうち449事業を対象)は27日終わったが、事業の削減総額は約7千億円に止まった(ほかに基金・積立金の国庫返納要求額(いわゆる埋蔵金)約1兆円の財源捻出効果があった)。
事業仕分けについては 本欄でも「『事業仕分け』だけで、鳩山政権は支持に値する(山竹章一氏)」、「軽佻浮薄が目立った仕分け作業(杉浦正章氏)」、「事業仕分けによる改善点を冷静に考えよう(玉木洋氏)」など賛否両論が戦わされた。なお、上記世論調査で、鳩山内閣の仕事ぶりのうち「行政の無駄遣い削減への取り組み」は70%が支持している。私としては、「事業仕分け」には功を焦るあまりの拙速の印象を否定できない。たとえば科学技術予算の削減、とくに「次世代スーパーコンピューターの「凍結」判定が物議をかもしたのは、大きく報道されたが、このままでは、失業する研究者が多く出る。お金には生首がついて動く。いちど首を切ったら、あとで後悔しても研究は生き返らない。研究開発こそ日本の経済成長の基礎である。成長戦略を無視した「事業仕分け」は国益を損なうのである。(つづく)
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