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2009-12-02 00:00
「教育立国」をめざし、質の高い教師を確保しよう
大藏 雄之助
杉並区教育委員長
就学人口の増大にともなって、財務省は教員増加を認めてきたが、数年前から少子化に応じて教員を減らすことを主張している。ところが、先ごろの事業仕分けで、その方向に進むかと思いきや、鳩山首相のお声掛かりのせいで、なんと小中学校の教員は逆に5500人も増えそうな見通しになっている。
国際的な学力調査で、日本の順位が下降していることは周知の通りである。その数値によって児童・生徒の学力が低下しているとは即断できないけれども、少なくとも上昇していないことは、文科省も認めている。そしてその原因として「ゆとり教育」で授業時間数が減ったことが影響していると考えて、学校の土曜休日制の見直しまで検討しているようである。
しかし、学力(アチーヴメント=到達度)は授業時間数には比例しない。例えば、OECDのPISAで常にトップの座を占めているフィンランドは、年間の授業時間が最も少ない。そのかわりに学級規模を小さく保って、行き届いた学習を実現している。わが国は40人学級制をとっているために、過疎地を含めた平均で、やっと1学級34人になっているが、先進国の平均では小学校で21人、中学校で23人と言われている。経験的に22人前後が最適で、それよりも少ないと教室の活気がなくなり、逆に多いと先生の目が届ききれないとされている。今回5500人の公立学校定員増が陽の目を見れば、日本も国際水準に近づくことになる。
中曽根内閣の臨教審以来、歴代の政府は「教育立国」を唱えながら、わが国の公教育費はこれまでGDPの3.3%に過ぎなかった。ヨーロッパ諸国は軒並み5%近辺にあり、デンマークは実に7%に達している。明治維新以降の近代化の成功には、国民の教育が大きく貢献した。戦後の復興も基礎教育の充実に依存した。学校教育は直ちに成果が出るものではないが、万一今を誤れば、悔いを千載に残す。質の高い教師を確保しよう。
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