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2009-12-05 00:00
日本の財政危機と問われる民主党政権の対応
水口 章
敬愛大学国際学部准教授
ドバイ・ショックで世界経済に信用不安が広がり、外国為替市場では南アフリカ、ブラジルなどの通貨が売られはじめた。一方、11月28日、震源地であるアラブ首長国連邦(UAE)では、アブダビの政府関係者がドバイの債務について「全債務を保証するわけではない」と発言し、関与の度合いは限定的であることを示した。今後、ドバイ側が債務の実態を明確に示せるかどうかが注目される。しかし、ともかくアブダビの支援でドバイは急場を凌げそうだ。では、日本の財政危機にはこうした救世主がいるだろうか。2009年度末の国と地方を合わせた長期債務残高は800兆円以上となる。これは国内総生産(GDP)比で189%である。
2001年末に債務返済を停止していたアルゼンチンの公的債務のGDP比は54%であり、現在、双子の赤字(財政、貿易収支)を抱える米国でも87%である。日本の公的債務がいかに大きいかが分かる。さらに、来年度も税収が低下すると予想される中で、一般会計税収(2009年度で38兆円程度)を上回る新規国債発行額(44兆円程度)となることが予想されている。このつけは環境税などとして国民が負担することになるのだろう。このような公的債務拡大による選挙公約遵守を望んでいる国民は、どれほどいるだろうか。また、大量に発行された新規国債の買い手はどれだけいるだろうか。
近年、海外の投資家も日本の国債を買うようになっており、その割合は2008年で全国債の7%になったといわれている。この数値を上げようとすれば、長期金利上昇問題に直面しやすくなるだろう。さらに国債の格付けはどうなるのだろうか。次々に不安が広がってくる。現政権は、一般会計税収の約15年分の国債を発行している現状をどのように捉えて、来年度予算を組むのだろうか。民主党は、ここに至った前政権の責任について批判することはそろそろ終わりにしてはどうか。国民は、民主党が野党第一党として日本の財政状況の危機を呼びかけたからこそ、民主党に期待して政権交替をさせたのではないか。そのことを忘れないでほしい。
政権に就いたら、想定外のことが多かったので、増税する、大量の国債を発行する、というのでは、民主主義を自ら否定していることになる。せめて明確な国家ビジョンと、今後3年間財政問題にどのように取り組むかに関する行程表を、国民に示すべきである。1年間の売り上げの約15倍の借金を抱えた企業が、人員や給与の削減をしないで借金を返済し、かつ持続可能な発展を遂げることは、不可能である。そのことは会社の役員であればよく理解できるはずである。普通の企業であれば、年間売上げを上回る額の借金を63年ぶりにすることの意味を考えない役員はいないはずである。そんなことはできぬ相談だからである。今多くの国民は、危機感を持って選んだ民主党の指導者たちが普通の感覚をもった常識人であってほしい、と祈る気持ちでいるのではないか。
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