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2010-01-06 00:00
(連載)経済再生のため、企業人は奮起せよ(2)
角田 勝彦
団体役員
米欧の主要金融機関の見通しによれば、幸い国際協調によりドバイ・ショックなどの影響は危惧されたほど大きくなく、2010年の世界GDPの実質成長率は09年のマイナス1%ていどからプラス3~4%に持ち直すという観測が強まってきている。日本政府も、09年見込みのマイナス2.8%から10年には1.4%(名目では0.4%)に転じるとの見通しを明らかにした。日銀も、12月1日、10兆円規模の低利の資金を金融市場に供給する緩和策を決めており、政府は、予算案に盛り込まれた2.3兆円の子ども手当の支給が10年度の実質GDP成長率を0.2%引き上げると見込まれることを例に挙げ、日本経済は10年度後半から力強い回復を見せるとしている。
これに対しては、財源問題は別として、景気回復の可能性についても、疑問が投げかけられている。たとえば、予算案については「コンクリートから人へ」と公共事業を09年度当初比18.3%減に押さえたことが、景気浮揚を限定するのではないかとの指摘がある。経済成長戦略は、従来の諸提案を役人的にまとめたもので新味無く、実質で年2%超(名目では3%超)の成長は、とても見込めない。6月までに具体策を出すというが、参院選目当ての「画に描いた餅」にすぎないなどの批判がある。またこの戦略では、主役を果たすべき企業を軽視しているとの批判がある。しかし、二つの予算案には、公共事業から生活支援にカネを回したため、景気対策として、少なくとも即効性は薄れたにせよ、需要拡大の意味があるのは確かである。
経済成長戦略には、私が本欄でも主張した「健康(医療・介護)」も重点分野に含めており、自民党を含めた従来の各種の主張が、かなり取り入れられている。外需への言及は少ないが、書き足せば済む話であり、マクロ的にはそれほど非難すべき点はない。予算成立が遅れれば、経済への悪影響が当然予想される。1月3日付NYタイムズ紙が「日本の10年を回避せよ」と題した社説で、1990年代のバブル崩壊後の日本政府が必要な対策を行う決意を欠いて、景気回復の芽を摘んだと論評し、オバマ政権に警告しているが、デフレや円高が景気回復の足を引っ張りかねない現在、予算成立の遅れは同じミスを繰り返すことになろう。
他方、1月18日よりの国会では「政治とカネ」を始め鳩山政権への難問が山積しており、難航が予想されている。強行採決も可能な与党勢力ではあるが、政治の世界は「一寸先は闇」である。そもそも経済では政府でなく企業が主役である。かって、日本は「(政治は二流だが)経済は一流」と評された。鳩山政権はベンチャーに大きな期待を寄せているようだが、既存の企業の実力も、まだまだ大きい。会社(利益)のみならず、従業員及び社会の福利を図るという日本の伝統理念に立って、企業人が日本経済の再生のため奮起することを新年の期待とする。(終わり)
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