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2010-01-20 00:00
(連載)武器輸出三原則の運用を正常化せよ(2)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
武器輸出三原則を「武器禁輸原則」にねじ曲げてしまったのは、戦後の悪しきパシフィストの権化である三木武夫首相である。三木は、1976年2月27日に行われた衆議院予算委員会における答弁で、(1)三原則対象地域については「武器」の輸出を認めない、(2)三原則対象地域以外の地域については憲法及び外国為替法及び外国貿易管理法の精神にのっとり「武器」の輸出を慎むものとする、(3)武器製造関連設備の輸出については「武器」に準じて取り扱うものとする、という項目を付け加えてしまった。
しかし、これでは米国の同盟国として冷戦を戦うのに余りにも支障がありすぎるので、1983年1月14日に中曽根内閣の後藤田正晴官房長官が「日米安全保障条約の観点から米軍向けの武器技術供与を緩和することを武器輸出三原則の例外とする」という談話を発して修正している。また近年ではミサイル防衛における日米間での技術協力の必要性から、2004年12月に、迎撃ミサイルの共同開発・生産に関して、対米供与に限り容認することを明確化している。
以上のような経緯を踏まえて、冒頭で私は「武器輸出三原則の運用の見直し」という表現を使ったのである。現行の武器輸出三原則の運用は、効率性の面から世界的な趨勢となってきている多国間での武器開発に日本が参加することを不可能としている。さらに、米国向けに少々の技術供与などができたところで、到底日本の防衛産業の基盤を固めることにならない。防衛産業の衰退は、言うまでもなく国防にとって死活問題である。防衛産業が衰退すれば、結局、米国製の武器に依存することになる。いくら同盟国だからといって、防衛産業まで全面的に依存するのが正常であるはずがない。それは、民主党が掲げる「対等な日米関係」とは正反対のことではないか。
社民党と連立を組み、党内にも社民党と似たり寄ったりの考えを持った議員を抱え込んでいる民主党にこんな注文をつけても無駄なことは承知の上であえて言うが、せっかく「対等な日米関係」を掲げているのだから、防衛産業の過度の米国依存を改めるべく、武器輸出三原則の運用を正常化するとともに、自主防衛の責任を果たせるように防衛力を強化していただきたい。この意味の「対等な日米関係」ならば、米国も大歓迎であろう。(おわり)
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