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2010-01-20 00:00
(連載)核廃絶に至る“遠い夜明け”(1)
吉田 康彦
大阪経済法科大学客員教授
昨年4月のプラハ演説で、オバマ米大統領が「核兵器のない世界」実現を唱えて以来、世界に核廃絶に向けての世論が高まり、オバマはそれだけでノーベル平和賞を受賞したが、まさに「希望」の上滑り現象だった。現実を知るオバマは、オスロでの受賞記念演説でアフガニスタン派兵を正当化する「正義の戦争」論を開陳したが、不評だった。プラハ演説に狂喜した市民はオバマの雄弁術に惑わされたのだ。
オバマは核廃絶を理想として掲げはしたが、同時にきちんと逃げを打ち、次のように述べている。「私の生きている間に核廃絶は実現しないだろう」「世界に核兵器が存在する限り、米国から先に核兵器を廃棄することはない」「同盟国に対する核の傘(拡大抑止)の約束は守る」・・・。何のことはない、彼は国際世論誘導の言葉の魔術師だったにすぎない。世界はオバマにだまされたのだ。それにしてもプラハ演説を手放しで歓迎した日本の世論は浅薄だった。
核廃絶に至る道筋は、核保有国の核削減(核軍縮)と非保有国への不拡散の2通りがあるが、双方とも前途多難だ。米ロは昨年末に失効したSTART-1(戦略兵器削減条約)に代わる後継条約署名でまだもたついている。新条約署名にこぎつけても、核弾頭は最低限1500発残ることになる。新条約の期限は7年だが、7年後に削減目標が実現している保証はない。英仏中の残りの公認核保有国を交えての多国間軍縮交渉に舞台が移るには、米ロ間の核削減がさらにもう一階進まねばならず、それには今から数えて最低10年から15年以上かかる。
もっと困難なのは、核不拡散だ。現行のNPT(核不拡散条約)非公認核保有国が、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮、さらに潜在的に核保有をめざすイランを加えると5カ国にのぼる。このうち北朝鮮を除く4カ国が廃棄に応じる可能性は限りなくゼロに近い。北朝鮮もきびしい条件闘争が待ち構えている。(つづく)
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